大衆文化のゆるやかな変質
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2013年04月21日
ヘタウマ文化論 (岩波新書 新赤版)
著者:山藤 章二
出版社:岩波書店
ジャンル:新書・選書・ブックレット
ISBN: 9784004314158
発売⽇:
サイズ: 18cm/205p
ヘタウマ文化論 [著]山藤章二
ある文化芸術賞の選考会の席上、ゆるキャラやCMの寒いダジャレなどヘタでゆるい風潮を顕賞することを提案した選考委員に、著者は「ヘタなもの、ゆるいものが、いまもてはやされ過ぎている」と反論したという。それを機に、大衆文化のゆるやかな変質について思うところをつづった一冊。ヘタウマを否定しているわけではない。河村要助、湯村輝彦、安西水丸、渡辺和博らの作品が「ヘタ」だけど「新しい」ことにショックを受けた40年ほど前のこと、糸井重里という思想、談志は「ヘタ」に憧れをもっていたこと、「ミスターヘタウマ」東海林さだおの偉業……。「ヘタは面白い」という著者の文化論は時代をも読み解き、刺激的で面白い。
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岩波新書・756円