田原総一朗「塀の上を走れ」書評 犯罪ギリギリの強烈なエピソード
評者: 朝日新聞読書面
/ 朝⽇新聞掲載:2013年01月20日
塀の上を走れ 田原総一朗自伝
著者:田原 総一朗
出版社:講談社
ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション
ISBN: 9784062177665
発売⽇:
サイズ: 19cm/380p
塀の上を走れ [著]田原総一朗
軍国少年→作家志望の若者→交通公社のダメダメ社員→岩波映画の落ちこぼれ撮影助手→東京12チャンネルのディレクター→フリーの書き手→「朝生」と「サンプロ」。印象的なのはテレビディレクターだった30代のころ。面識もなかった安部公房に直談判してドラマを書いてもらったことや、原一男がアシスタント・ディレクターだったドキュメンタリー「日本の花嫁」の制作秘話など、取材対象者と精神的にも肉体的にも素っ裸になってとことんつきあう様子が熱く伝わってくる。面白い番組を作るためなら〈塀の上を走る。でも、中には落ちない〉と犯罪ギリギリのところまでやっていた強烈なエピソードの数々に引き込まれる。
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講談社・1680円