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堀井憲一郎「いつだって大変な時代」書評 震災後の今もそうなのか

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2011年07月31日
いつだって大変な時代 (講談社現代新書) 著者:堀井 憲一郎 出版社:講談社 ジャンル:新書・選書・ブックレット

ISBN: 9784062881142
発売⽇:
サイズ: 18cm/222p

いつだって大変な時代 [著]堀井憲一郎

 少し前の時代の空気を私たちは忘れている。「バブル」とみんなが呼ぶようになったのは、バブルが終わった1990年代以降。87年ごろの週刊誌の見出しは土地高騰に批判的で、88年になって金もうけ指南に転じる。3D映画は40年代から「決して新しいものではない」と言われていた。
 「今は大変な時代」とよく言うけれど、いつだって、「今は大変」と人は考える。「この時代を生きる自分は特別だ」と思いたいからだ。著者は「本当に大変な瞬間」を見抜くために「今は大変じゃないと考えてみる」という。果たして震災後の今は「本当に大変な瞬間」じゃないのだろうか。この本が10年後、どう読まれるだろう。