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「男が暴力をふるうのはなぜか」書評 戦争や自殺まで含め考察

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2011年03月06日
男が暴力をふるうのはなぜか そのメカニズムと予防 著者:ジェームズ・ギリガン 出版社:大月書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政

ISBN: 9784272420131
発売⽇:
サイズ: 20cm/228,10p

男が暴力をふるうのはなぜか [著]ジェームズ・ギリガン

 人は、とりわけ男は、なぜ暴力をふるうのか。戦争や自殺まで暴力の概念に含め考察する。著者は、経済大国の中で「飛び抜けて暴力的な国」である米国の刑務所と刑務所内精神科病院を実験場に選び、暴力の原因とその予防を研究してきた精神医学の研究者。暴力を、道徳や法律の問題としてとらえず、コレラや結核のような疾病と同様に、公衆衛生の立場から「予防」するよう、様々な提言をする。特に第3章の「男らしさの証(あかし)としての暴力」は、読んでいるだけで自分の中の荒ぶる気持ちが静かに穏やかになっていくのを感じる筆致だ。
 (佐藤和夫訳、大月書店・2940円)