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「大坂オナラ草紙」で児童文学賞 谷口雅美さん

つながり、子供たちに伝えたい

 絵の得意な小学5年の男の子が、納戸で見つけた古い冊子とオナラを通じ、江戸時代と現代の大阪を行き来する「大坂オナラ草紙」(講談社、本体1300円)で、第58回講談社児童文学新人賞の佳作に選ばれ、6月上旬に出版された。
 兵庫県尼崎市在住。10年前から短編小説や雑誌の企画など様々な執筆を手がけるようになり、「ものかき」を名乗っている。きっかけは、転職支援の会社で働いていたとき、自らを見つめ直して「得意なことを仕事にしたい」と考えたことだった。短編小説を中心に約200本を書いてきたが、友人2人から立て続けに児童文学の執筆をすすめられて挑戦することにした。
 友だちを傷つけて絵をやめていた主人公が、江戸時代の人々と交流し、伝えることの意味を考え直すストーリーだ。歴史は苦手で、江戸時代を描くのは難しかったが、服装や風習を一から調べ、専門家の監修も受けた。「子供たちが生まれる、もっと昔から人々は関係し合い、未来にも続く。そんな『つながり』を書きたかった」。今後も、地元が舞台の楽しい話を書くつもりだ。(渡義人)=朝日新聞2018年6月27日掲載