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To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第6回 銀座(東京)

文・イラスト:藤原ヒロユキ

ピルゼンアレイ

 「ピルゼンアレイ」の〝ピルゼン″はチェコの都市名である。淡色系ラガービールの代表格であるピルスナーの生まれた場所だ。「ピルゼンアレイ=ピルゼンの小路」の名はピルスナーに特化した店の心意気に他ならない。

 私自身、チェコへは一度しか行ったことがないが、また訪れてみたい国である。町並みも田園風景も美しく、人も真面目で善良だ。なによりもビールが旨い。国民1人当たりの年間ビール消費量が世界一というのもうなずける。
 チェコをイラストで紹介する『チェコへ行こう! 絵本と雑貨とちいさな街めぐり』をペラペラとめくっているとまたチェコに行きたくなる。

 「ピルゼンアレイ」のカウンターには椅子は無くスタンディング。十数人も入れば満員で、客の背中側は人がひとりかろうじてすり抜けることが出来るだけである。路地好きの私は、この狭さに心惹かれるのだが、この店に足を運ぶ理由はそれだけではない。

 「ピルゼンアレイ」で飲むことが出来るビールは、アサヒ・スーパードライとチェコのピルスナーウルケルの2種類しかないのだが、アサヒ・スーパードライはシャープ注ぎ、サトウ注ぎ、マツオ注ぎという3つの注ぎ方でサービングされる。

 シャープ注ぎとはどのようなものか? グラスの7分目まで泡を立てないようにビールを注いで、最後に泡をのせる注ぎ方である。炭酸が抜けず、キリッとした口当たりだ。
 続いては、サトウ注ぎ。ある程度勢いをつけながら注ぎ、適度に炭酸を発散させた一度注ぎである。チェコのビアホールで注がれている方法にヒントを得てオーナーバーテンダーの佐藤君があみだしたものだ。炭酸の刺激がほどよい。

 そして、マツオ注ぎ。伝説のビアホール「灘コロンビア」の故・新井徳司氏最後の弟子である新橋「ビアライゼ’98」の松尾光平氏の注ぎ方をリスペクトした2度注ぎである。はじめに勢いよく注いだあとに泡を落ち着かせ、もう一度注いでいく。グラスから泡が盛り上がるのが特徴で、マイルドな口当たりだ。

 初めて訪れるならば、この3種類をすべて飲むべきである。
 おなじアサヒ・スーパードライなのに、これほど印象が違うのか!? と驚かされる。私の飲み方は、1杯目はシャープ注ぎ、2杯目からはサトウ注ぎで、締めはマツオ注ぎといった感じかな……。全部一度に頼んで並行飲みをして味わいの違いを楽しむこともある。これって邪道?(笑)
 ちなみに、ピルスナーウルケルも一般的な注ぎ方と「泡だけ」をジョッキに満たす「ミルコ注ぎ」なんてのもあるので、これもトライしてみたいところだ。

 サーバーそのものにも注目したい。一般的なビアサーバーはハンドルを縦に動かすが、「ピルゼンアレイ」のハンドルは横に動かすものだ。これはチェコスタイルで、このタップもチェコから取り寄せたものと聞いている。

 ビールをお替わりするごとにコースターにペンでピュッと線を引いてくれる。バーテンダーも客も何杯目かがわかる。チェコやドイツのビアホールやビアガーデンでよく見かけるやり方だ。
 グラスもドイツ製の350ml入りの細長い直管型。ケルシュというケルンのビールを飲むときに使うシュタンゲ(こちらは200ml入りの直管型)というグラスを彷彿とさせる。

 飲みやすいグラスで美味しいビール。コースターの線が増えていく。

 銀座の「ピルゼンアレイ」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。