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いがらしみきお「どうしてドステンちゃん」 ロバの女の子が時事ネタに「?」連発

『どうしてドステンちゃん』 [著]いがらしみきお

 「ぼのぼの」などの動物ギャグでも知られる著者の最新作。今回の主人公はロバだ。ちょっと意外なのは、内容が時事ネタということ。オリンピックや北朝鮮のミサイルから芸能界に至るまで、最近の話題が次々ととりあげられる。
 お話の舞台は、日本からはるか遠くのメヒコ(メキシコ)。砂漠の中の一軒家で人間に飼われているロバのドステンちゃんは、何でも知りたがりの女の子だ。この家にあるテレビは、なぜかハポン(ジャパン)の番組ばかり映しだすので、遠い国の事件や流行に接して「どうして?」と疑問で頭がいっぱいだ。日本について知識がなく、想像力をフル回転させて解釈するが、答えは暴走するばかり。毎回とんでもない結果に行き着き、思わず笑いを誘う。
 ギャグと同時に諷刺(ふうし)も利いている。たぶん日本人でも、ドステンちゃんの疑問には答えられないのだ。遠くから見ればまったく奇妙としか思えないことが、この国では常態化しているようでもある。
 我慢や納得ができないことに出合うと、ドステンちゃんはすぐに反発し、勢いよく後ろ脚で土をかける。あれもこれも、この際みんなドステンちゃんに土をかけられてしまえばいいのかもしれない。=朝日新聞2018年7月14日掲載