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To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第8回 国分町(仙台)

文・イラスト:藤原ヒロユキ
文・イラスト:藤原ヒロユキ

アンバーロンド

 2005年4月1日、私は仙台の野球場にいた。
 新しく出来たプロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」の本拠地開幕戦を観るために、当時「フルキャストスタジアム宮城」と呼ばれていた球場の内野席に座っていた。今の「楽天生命パーク宮城」だ。
 当時イーグルスのGMだったマーティ・キーナートさんと親交があったことや監督の田尾安志さんのファンだったこともあるが、なによりも、〝新しく生まれる球団の本拠地開幕戦に立ち会えるチャンス″など、そうそうあるものではないと考えた私は、イーグルスのファンクラブに入り、東京から新幹線に乗り仙台の地を訪れたのだ。私にとって初めての仙台だった。

 イーグルスは、磯部の先頭打者ホームランを皮切りに4番ロペスの3ランなどあり、初回に6点をあげた。その後も中押しダメ押しと得点を重ね、16対5でライオンズに圧勝。投げては岩隈が7イニングを6安打、続く2イニングを福盛と小山が無得点に抑えた。
 杜の都の球場は大いに盛り上がった。

 それから私はちょくちょくと仙台を訪れることになる。一関の地ビールフェスティバルの帰り、遠野や江刺のホップ園を訪ねる途中、仙台でのオクトーバーフェスト、そしてイーグルスの試合を観るため。
 東京から仙台までは最速の新幹線ならば1時間30分ほどだ。あっという間である。

 仙台と言えば牛タン、笹かまぼこ、冷やし中華、ずんだ餅、セリ鍋など美味しい食べ物がある。鮭とイクラのはらこ飯、牡蠣、ほや、ウニ、マグロなど海の幸も豊富で新鮮だ。
 そのうえ、ビールの旨い店も多い。宮城の県民性を紹介する本『宮城のおきて ミヤギを楽しむための48のおきて』という本によると、仙台では社会見学でキリンビール仙台工場を訪れる人が多いとのことで、ビールを愛する気持ちが強い傾向にある。クラフトビールや海外のビールに力を入れているお店も多い。

 仙台一の繁華街と言えば国分町に他ならない。「アンバーロンド」はその一角のビルの2階にある。カウンターとテーブル席、合わせて二十数席。決して広い店ではない。そのぶん、親密でアットホームな雰囲気である。リラックスできる空間で、国内外のクラフトビールと海外の伝統的なビールが楽しめるお店である。

 オーナーの田村琢磨さんは、仙台のビールシーンの中心人物だ。「仙台ビールマップ」を自主制作したり、仙台クラフトビールフェスティバルの実行委員を務めたりしている。また、セ・パ交流戦時に球場前広場でおこなわれる「世界のビールと肉祭り」での出店などの実績もある。

 「アンバーロンド」のカウンターで田村さんと話しながら飲むビールも格別の味だが、国分町の通りを見下ろせるテーブル席も魅力的だ。
 国分町のネオンの灯りが映る窓際には、「DON'T THINK. BEER!」のライトが光っている。映画「燃えよドラゴン」でのブルース・リーの名セリフ「DON'T THINK. FEEL!」のパロディーだ。
 「考えるな。ビールだ!」。私たちにとっては最高のセリフに違いない。その言葉の下で飲みたい。
 もちろん私も、四の五の考えずに「ビール!」である。他に言葉はいらない。

 仙台・国分町の「アンバーロンド」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。