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どういう自分でありたいかわからない人におススメ 野々村友紀子さん「あの頃の自分にガツンと言いたい」

 40代になってようやく自分らしく生きられるようになりましたが、若い頃は苦労の連続で、できた人間ではありませんでした。でも悩んで、迷って、もがき苦しんだ経験があったから、今がある。私は昔から、日々思いついたことをメモする習慣があるので、改めて振り返ってみると、過去の自分の言動に腹が立つやら反省するやら。「あの嫌な経験はこのためにあったんだ!」と気づかされることも多い。そんな「今だからわかる大切なこと」を書き留めた言葉を、エッセイ集『あの頃の自分にガツンと言いたい』に詰め込みました。

 思い出すと恥ずかしくなるほど自分のことしか見えていなくて、勝手な思い込みで失敗したり間違ったり、人を傷つけたり傷つけられたこともありました。自分をうまく出せずに、無理して人に合わせたり、変に隠して引っ込み思案になったことも。そうやって自分を閉じてしまうと、人間関係もぎくしゃくするんですよね。でも良いところも悪いところもひっくるめて「こういう人間です」って“自分のカタチ”をはっきりさせると、案外うまくいくものです。そういう意味でこの本は、「私のカタチ」を改めて認識させてくれた本でもあります。

 年齢や環境によって人は変化するので、40年以上生きてきた人生の中の、あらゆる年代の自分に向けた言葉も入れました。ダメな女だったあの頃の自分には、「欠けている部分が人間の面白味」だと伝えたい。不幸だったあの頃の自分には、「迷ったら、前と後ろを見ろ」、「『うらめしい』と『うらやましい』はダークサイドへの合言葉」だとガツンと言いたい。

 なりたいものが見つからないなら、「“なりたくないもの”から遠ざかれ」ばいい。そうすれば、だんだん好きなもののほうへ近づいていくから。「嫌い」とか「嫌だ」とかネガティブな気持ちが変わらないなら、「考えを変えて」みればいい。そうすると楽になれるから。苦しいときは、「“誰も助けてくれない”という前に、“助けて”と叫んで」ほしい。きっと味方が現れて助けてくれるから。どのメッセージも自分の過去の苦い経験から学んだものばかりです。

 こうして自分のことを客観的に見て、強く生きていけるようになったのは、母の影響もあります。一人っ子の私を早く一人前に育てたかったのか、「親はすぐ死ぬから、何でも一人でできるようになりなさい」が母の口癖でした。過保護だった半面、夏休みは一人でキャンプに放り込まれたり、遊園地のお化け屋敷も「一人で入りなさい」と言われたり。今でも元気で長生きしていますけど、ありがたかったなぁと思います。

 去年は、小学生の娘二人に伝えたいことをまとめた『強く生きていくために あなたに伝えたいこと』も出しました。本の感想はまだ何も聞いていませんが、長女が「一冊ちょうだい」と言ってきてくれたのは嬉しかったですね。こっそり読んでくれているのかな。

取材・文/樺山美夏 写真/山本哲也