1. HOME
  2. コラム
  3. To The Beer Bar
  4. To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第9回 高円寺(東京)

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第9回 高円寺(東京)

文・イラスト:藤原ヒロユキ
文・イラスト:藤原ヒロユキ

ビアカフェ萬感

 1990年代前半、私はピクニックスという名前のソフトボールチームに所属していた。
 毎年、4月から10月までの7カ月間で40試合以上をこなしていたので週2試合のペースだった。試合は主に土曜日で、午前9時から11時ぐらいまでで1試合、昼食と休憩をはさんで午後にもう1試合というのが常だった。守備位置はレフトで打順は2番が多かった。

 善福寺川緑地へは、JR高円寺駅からバスに乗って往復していた。 
 試合のあとは、当然のことながら(?)高円寺で飲んだ。商店街の蕎麦屋でビールをひっかけ、飲み放題の居酒屋へ流れ、最後は高架下の飲み屋というのがお決まりのコースだった。短くとも6時間、長いと10時間ぐらい飲み続けた。我ながら、若かったなぁと思う。当時、まだ日本に“クラフトビール”が無かったので、ナショナルブランドの生ビールを浴びるように飲んでいた。

 高円寺では、古着のアロハシャツもたくさん買った。高円寺には素敵な古着屋が多く、飲む前にサクッと覗くのが楽しみだった。
 アロハシャツは、ハワイアンシャツとも呼ばれ、1950年前後に作られたものはヴィンテージ物として珍重されている。私には高嶺の花であるヴィンテージ・アロハは『定本ハワイアンシャツ』に載った写真で鑑賞させていただくことにしている。この本にはハワイへ移住した日本人移民とアロハシャツとの深いかかわりなども記されていて、勉強になる。マニア必見の一冊である。

 1990年代なかば、ピクニックスは解散し、私は違うソフトボールチームに所属するようになった。ホームグラウンドも品川区に変わってしまい、高円寺から足が遠のいてしまった。

 そんな私が再び高円寺を訪れるようになったのは「萬感」というビアカフェが出来たからだ。
 14本のドラフトタップから、国内外のクラフトビールが注がれるのだが、面白い銘柄が定番で繋がっているのが嬉しい。

 「Far Yeast Brewing」と「Suginami Brewery」のコラボビール「Suginamic! Bitter Ale」は 山梨県の杉が加えられていて、ユニークな味わいだ。
 南信州産のリンゴを使った「南信州ビール」の「アップルホップ」は、旬によって使用されるリンゴの品種が変わり、ビールの風味が違う。足しげく通って飲み比べたい。
 世界的に高い評価を得ている「箕面ビール」の「W-IPA」に山椒を加えた「山椒W-IPA」バージョンは「萬感」でしか飲めない逸品だし、都内ではレアな「京都醸造」のビールが飲めるのもありがたい。

 そのうえ、「萬感」は料理も素晴らしい。名物のタコライス、リングウィッサ(ブラジル風生ソーセージ)、チリチーズポテトなど、ビールの進む料理が豊富である。
 1990年代前半に「萬感」があれば、試合のあとは毎週直行して25時まで飲み続けていたに違いない。

 さらに、もうひとつ忘れてはならないのは壁面がギャラリーになっていることだ。1カ月単位でアーティストが変わる。いつもユニークな作品が並び、興味深い。
 そしてなんと! 8月はこの連載「To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~」のイラストが飾られているのだ(展示は9月24日まで)。
 美味しいビールを飲みながら、是非、ご覧いただきたい(笑)。

 高円寺の「ビアカフェ萬感」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。