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藤巻亮太主催フェス「Mt.FUJIMAKI」開催直前企画① 世界中を旅して見いだした、フェスを開く意義

文:宮崎敬太

90年代育ちにとっての音楽フェス

 「好書好日」の連載エッセー「藤巻亮太の旅是好日」でおなじみの藤巻亮太が、主催フェス「Mt.FUJIMAKI (マウント・フジマキ)」を10月7日に山梨県の山中湖交流プラザ きららで開催する。90年代に青春をすごした彼にとって、フェスには特別な思いがあるはずだ。

 現在の日本の音楽シーンは、ビジネス的な側面も含めてフェスを中心に形成されている。しかし90年代は海外でも今ほどフェスは開催されていなかったので、日本でのフェスなんて夢のまた夢という感覚だった。日本の音楽ファンは音楽専門誌に掲載されたレポート記事や、画質の悪い海賊版VHSを観て思いを馳せるしかなかった。

 そんな状況のなか、1997年にロックフェス「FUJI ROCK FESTIVAL」が山梨県富士天神山スキー場で開催された。どのような結果になったのかは有名なのでここでは割愛するが、参加者たちの「本当に死ぬかと思った」という体験談は、むしろ武勇伝として語られている。今となれば笑い話だが、そこから多くの試行錯誤を経て現在に至っている。

 この音楽シーンを見て、通ってきた藤巻は、今回の「Mt.FUJIMAKI」をどんなフェスにしたいのか? オフィシャルサイトでは、「素晴らしいミュージシャンと心に残る音楽を届けたい」と語っている。藤巻をはじめ、出演するASIAN KUNG-FU GENERATION、浜崎貴司(FLYING KIDS)、宮沢和史、山内総一郎(フジファブリック)、和田唱(TRICERATOPS)はみな90年代の音楽の歴史と感覚を共有しているアーティストたちだ。藤巻が絶対的な信頼を置くミュージシャンとのフェスでの共演。それは今まで彼らが作って考えてきた音楽の共鳴であり、演じるものにとっても聞くものにとっても、幸せな音が会場に響くだろう。

世界中を旅して山梨にたどり着いた

 藤巻は、世界中を旅して新たな発見をし、自分を見つめ直した。しかし意外なことにそれが心を満たすことはなかったという。そして改めて感じたのは、「ここではないどこか」でなく、自分がいまいる「ここ」こそが重要だということ。当たり前に暮らしている生活の場でこそ、心に残る音楽は鳴るべきだと感じた。

 彼は自分のルーツである山梨に立ち返ることになった。自分の育った土地を顧みると、うまい飯、酒、空気があることに気づいた。フェス当日はほうとう、とりもつ煮、地ワイン、地ビールなどが味わえるフードブースも出店する。台風の心配はなさそうだし、標高も富士天神山スキー場に比べればかなり低いので、97年「FUJI ROCK」のように壮絶な体験ではなく、雄大な富士山を観つつ快適な時間が過ごせるはずだ。

 また当日はここだけのスペシャルセッションも予定されている。最高の環境で、最高の音楽を楽しんでほしい。

※開催直前企画 第2弾では、フェスついでに訪れたい山梨のおすすめスポットへご案内します。