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茶道具の「袋師」が生み出す小宇宙

三浦和子著『袋師が見る 数寄の名脇役 茶の裂』から「茶入仕覆」

 茶の湯は敷居が高いなあ、と思いつつ手にとったら、思わぬ目の快楽が待っていた。
 茶道具を入れる袋などを作る「袋師」が、茶碗(ちゃわん)などを入れる「仕覆(しふく)」と呼ばれる袋を中心に解説している。
 裂(きれ)、つまりは2次元の布から立体を包む袋を作るには、3次元化の必要があるのだが、その造形がまず楽しく、裂の模様が味を生む。
 ほぼ同じ形の仕覆が並ぶ様子を淡々と抑制的に撮る写真からは、軽快なリズムすら伝わる。まさに掌中の小宇宙の趣だ。(大西若人)=朝日新聞2018年10月6日掲載