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新書ピックアップ(朝日新聞2018年10月6日掲載)

『100歳の秘訣(ひけつ)』

 フォトジャーナリストの笹本恒子(104歳)は、まだ取材に行きたいと言い、毎日赤ワインを楽しむ。プロゴルファーの内田棟(むなぎ)(101歳)は、命ある限りゴルフを続けたいとトレーニングを欠かさない。精神科医の髙橋幸枝(101歳)は、今も病院の運営に携わる。画家(102歳)、児童文学者(101歳)、剣道家(103歳)ら、100歳を超えてなお「現役」として生きる10人を取材。その歩みと現在をつづる。
★歌代幸子著 新潮新書・821円

『アメリカとヨーロッパ』

 第2次世界大戦で壊滅的な損害を被った欧州諸国は戦後、強者アメリカの支援で復興してきた。だが力の不均衡を前提にしながらも、アメリカと対立・協調を繰り返すことで独自の同盟関係を築いてきたことを振り返る。米国でトランプ政権誕生後、NATOへの防衛費の負担などをめぐり米欧関係の緊張が注目を浴びているが、安全保障上のリスクという利害関係だけでは語れないのが米欧関係だ。強い米国とどうつきあうか。日米同盟を考える補助線にもなる。
★渡邊啓貴著  中公新書・886円

『異端の時代』

 副題は「正統のかたちを求めて」。神学を専門とする著者が、宗教や政治、文化における「異端発生のメカニズム」を解明。異端好みの日本人についても考察する。丸山眞男や神学史、思想史などを手がかりに、何が「正統」とされてきたかを批判的視座からたどる。民主主義の混迷に直面する現代社会に斬り込む試みでもある。
★森本あんり著 岩波新書・929円

『山口組と日本』

 最盛期には準構成員を含めて“4万人軍団”と評されたヤクザ組織。内部抗争を繰り返し、「山口組」「神戸山口組」「任侠山口組」と三分裂するに至った。大正時代に神戸港の港湾荷役労働者の組織として誕生した組織の、戦前、戦中、戦後を丹念にたどり、メディアの対応を含めて描く。
★宮崎学著 祥伝社新書・929円