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「希望の架け橋」五反田の高架下で出来たてのオリジナルビールを

文・イラスト:藤原ヒロユキ
文・イラスト:藤原ヒロユキ

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第19回「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」(東京・五反田)

 五反田の「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」は東急池上線の高架下にある。
 東急池上線は、JR山手線をまたいで線路を延長させる計画だった。そのため、五反田駅はショッピングセンターレミィ五反田(旧東急五反田ビル)4階の場所に作られた。

 しかし、残念ながら池上線の延長計画は頓挫してしまった。『五反田駅はなぜあんなに高いところにあるのか』を読むと池上線の生い立ちを知ることが出来て面白い。
 さらに歴史をさかのぼると、池上線の終着駅は一つ手前の大崎広小路駅で、JR五反田駅との乗り換えは、連絡歩道でつながれていたとのことだ。駅間の距離はほんの数百メートルである。今、東急池上線で五反田-大崎広小路間だけを利用する人っているのだろうか?  

 五反田駅から目黒川方面に向かい、橋を渡ってすぐに左折。川沿いに数十メートルほど進めば高架が見える。作られた当時は、JR線を乗り越えて山手線の内側に線路を伸ばしていこうという「希望の架け橋」だったに違いない。
 ある意味“東急池上線の歴史的建造物”とも言えるこの高架下に、2018年の3月「池上線五反田高架下」という名の商業施設がオープンした。「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」はこの一角で産声をあげた。

 「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」のオーナー、菅原亮平さんは以前からベルギービールに特化したレストランを経営する傍ら、ベルギーの醸造所でオリジナルビールを醸造していた。このように「自前の醸造所を持たず、既存の醸造所でビールを造る」方法はファントムブルワリーと呼ばれ、クラフトビール業界ではよくみかけるやり方だ。

 このファントムブルワリーは安定的にビールを醸造していたが、やはり「自分自身の醸造所を作りたい」と考えるのがビア・ラバーの熱き想いである。
 満を持して、五反田に「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」が生まれる運びとなった。ちなみに、RIOは、ベルギーの人達が「亮平:りょうへい」という名の発音が難しく「リオ」と呼んだことに由来する。

 「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」は、ブルワリーを併設したレストランである。欧米ではブルーパブと呼ばれ人気が高く、日本でも広まり始めている店舗形態だ。

 特等席は、ガラス越しに醸造設備が望めるテーブルである。キラキラと光る仕込み釜や発酵槽を眺めながら、目の前のタップから注がれる出来立てのオリジナルビール「初陣:Uijin」や「初陣柚子ブロンド:Uijin Yuzu Blonde」を飲む気分は格別だ。
 他にもアメリカのイーヴル・ツイン・ブリューイングのイェッペ氏(世界的に有名なミッケラー醸造所のミッケル氏の双子の兄弟)とのコラボビール「Even More Rio」やヒューガルデンホワイトを創った故ピエール・セリス氏の娘クリスティーヌさん、孫娘のデイトナさんとのコラボビールやベルギーから直送の多彩なビールも用意されている。

 特等席を逃したとしても、悔やむことはない。店内の雰囲気は活気があり洒落ている。岩手県産黒毛和牛「門崎熟成肉」とブランド豚『東京X』、新鮮な三宅島近海の魚介を使った料理も抜群だ。

 今後は、「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」から10ヶ国への輸出を目指しているとのことである。 
 池上線が山手線の内側に乗り入れようとした夢の高架下に生まれた「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」。日本と世界を繋ぐ架け橋になっていくことだろう。

 五反田の「RIO BREWING & CO. 東京醸造所」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。