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有名な醸造家がタッグを組んだクラフトビールは「うみゃーでかんわぁ」

文・イラスト:藤原ヒロユキ

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第21回「Yマーケット・ブルーイングキッチン&柳橋テラス」(名古屋・名駅)

 標準語で「名古屋」という単語のアクセントは「な」にある。
 しかし、名古屋では「や」にアクセントを置く人が多い。「〈な〉ごや」ではなく「なご〈や〉」である。
 どちらが正しいのだろうか? その場所に住んでいる人々が使っているアクセントこそ正しいのではないだろうか? なにをもっての「標準語」なのか? 個人的には、もっと「地元の言葉・方言」を尊重したほうが良いと思うのだが……。

 講談社+α新書『方言の日本地図-ことばの旅』によると、方言がもっとも残っているのは沖縄県で、九州や東北も伝統方言が多く残っているとのことだ。正直なところ、テレビで沖縄や九州、東北の方(一般の方で、特にお年寄りの方)がしゃべられているのを聞き、まったく聞き取れない場合がある。が、それはそれでほっこりとしてイイなぁと感じるのである。
 名古屋弁と言えば1970年代にオリエンタルスナックカレーのCMで南利明が「うみゃーでかんわぁ」って叫んでたなぁ。古すぎかぁ? タモリが「名古屋ではエビフライのこと〝エビフリャー″って言うんだよね」とギャグにしていたが……、言わないよね、そんなこと。

 「Yマーケット・ブルーイングキッチン」は名古屋駅から徒歩5分ほどの場所にある。
 名古屋っ子が、名古屋駅を「めいえき」と呼ぶのを聞いて、はじめは略称だと思っていたが、駅前の地名が「中村区名駅1丁目5丁目」「西区名駅1丁目~3丁目」だと知り、「木村拓哉がキムタク」で「ブラッド・ピットがブラピ」とはわけが違うということがわかった。「めいえき」は〝オフィシャル″な呼びかたなのだ。

 そんな「名駅」から桜通りを歩き、泥江町の交差点のひとつ手前の角を右折したのち、次のひとつ目の角を直角に左折するとYマーケットがある。1階が醸造所「Yマーケット・ブルーイング」、2階がレストラン「Yマーケット・ブルーイングキッチン」、3階はバーベキューレストラン「柳橋テラス」である。

 Yマーケットの名は、柳橋中央市場に由来する。
 柳橋の〝Y″と中央市場の〝マーケット″でYマーケットだ。
 うん、やっぱり名古屋っ子って略すのが好きなんだなぁ。違うかぁ?

 柳橋中央市場は「名古屋市民の台所」と呼ばれる食品卸売市場である。
 愛知県の公式観光ガイドAichi Nowやウィキペディアによると、1886(明治19)年に青物市場が置かれたことがルーツとされ、1910(明治43)年には万物問屋が集まる中央市場株式会社が発足している。現在も「マルナカ食品センター」を中心とした4000坪のエリアに鮮魚、肉や野菜、海苔や鰹節、包装資材や調理器具も揃うお店が約300店舗並んでいる。

 タイミングが合えば1階の「Yマーケット・ブルーイング」で中西正和君と加地真人君がビール造りをしているのを、窓越しに眺めることが出来る。それぞれ、別の醸造所で腕を振るっていた有名な醸造家だったので、このふたりがタッグを組むことは、当時クラフトビール業界のビッグニュースとなった。
 創業から4年たつが、その間に造られたビールは160種類を超える。1年に約40種類ということだ。10日とあけず新しいビールを生み出していることになる。

 2階の「Yマーケット・ブルーイングキッチン」に上がり、さてさて、まずは何を飲むとするか? アルコール度数4.5%のYマーケットセッションIPAか6.2%の夕涼みペールエールか?
 料理は……ロティサリーチキンは外せない。ソースは、スリラッチャマヨネーズやレモングラスチリソースも良いが、今日はランチソースだ。セッションIPAやペールエールに合うに違いない。
 さらに、名古屋メシの中から「馬すじの自家製ビールどて煮」と、海老フライが入った「バケット・サンド・ポーボーイ」を選んだ。このふたつにはローストモルトの効いたビールを合わせたい。

 3階はバーベキューレストラン「柳橋テラス」。クラフトビールが飲み放題の予約制バーベキューレストランである。今日は若い男女のグループがにぎやかにビールと料理を楽しんでいる。ビールを自分達で注ぐのも、イベント的要素があって楽しいようだ。助け合って注いでると、恋なんか生まれちゃったりするかもね? 
 名古屋弁だと、なんて言うんだろうか? 「おみゃーさんのことが好きだ」なんて若い子は言わないよね。じゃ、「キミスキ」か? これも違うよね。なんでも略してるわけじゃないしぃ(笑)。

 名古屋の「Yマーケット・ブルーイングキッチン」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。