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新書ピックアップ(朝日新聞2018年11月3日掲載)

『ペットと葬式』 

 昨今、ペットは手厚く葬られるようになった。日本人には従来、人間以外のもろもろを供養する習慣があるが、家族同様に愛情を注ぐ現代のペットのあり方は、仏教界を揺さぶるほどだという。フリージャーナリストで、今春から、生まれ育った京都の寺の副住職になった著者が、ペットとともに生きる人々の慈悲心に迫る。
★鵜飼秀徳著 朝日新書・961円

『カサンドラ症候群』

 副題は「身近な人がアスペルガーだったら」。カサンドラ症候群とは、共感性や情緒的な反応が乏しい人と身近に接している人が、うつやストレス性の心身の障害を呈すること。夫婦関係について、「共感的応答」に乏しいパートナーとの生活が人に及ぼす影響と、その状況が他者から理解されづらいことからくる二重の疎外による苦しみについて、精神科医が、事例を紹介しながら、関係を修復するアプローチまで解説する。
★岡田尊司著 角川新書・907円

『日銀バブルが日本を蝕む』 

 不動産投資にはまるサラリーマン、投機的な仮想通貨に走る若者たち、株価の不穏な乱高下……お金をめぐる「異変」に共通するのは人々の将来不安であり、それをあおり立てたのが日本銀行の金融緩和だと読み解く。スルガ銀行の不正融資問題を特報した朝日新聞記者が、実感の乏しい好況を演出する日銀の金融政策の矛盾と限界を解き明かし、政策の失敗はいずれツケとなって国民にはね返ると警告する。
★藤田知也著 文春新書・918円

『医者の本音』

 外科医が、患者に伝えたいこと、医療現場の現実、診療のメカニズム、多くの死をみてきた経験を顧みて死についてどう思うかなどを語る。「医者がかかりたくない医者」の四つの条件、「なぜ医者の態度はいつも冷たいのか」、「生命は思うようにコントロールできない」という実感……。1980年生まれの著者が、医者と患者の間の深い溝を埋めようと試みる。
★中山祐次郎著 SB新書・886円