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「日本の神様 解剖図鑑」 あなたの近所の神様はどんな神様?

 ちょうど今は旧暦でいうところの「神無月」。八百万(やおよろず)の神々が出雲に集結し、他の土地では不在になることから、こう呼ばれています(とはいえ、留守を守る神様もちゃんといるのでご安心を)。

 八百万というくらい、日本にはたくさんの神様がいますが、人にもそれぞれ個性があるように、神様たちも個性豊か。そんな神様たちのことを深く知ることができるのが「日本の神様 解剖図鑑」です。

 「古事記」に登場する、日本を創造したとされる神様をはじめ、悪者や妖怪などの異形のものから転じて崇められるようになった神様、私たちの暮らしの中にいる身近な神様などを取り上げ、完全図解。さまざまな神様の起源や特徴、ご利益がまとめられています。

 個人的に驚いたのは、新春の「七福神めぐり」でも知られる七福神たちがアジアの混合チームだということ。それぞれの出自は日本だけでなく、インド、中国とさまざまで、唯一、日本生まれなのが恵比寿さまなのだそう。

 しかも、その恵比寿さま、日本の国土をつくった伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の第一子、水蛭子(ひるこ)なのだとか。生まれた時に骨がなく、神として不完全だったため、海へと流されたといいます。あんな幸せそうな、恵比寿顔の裏にこんな哀しいエピソードがあったとは……。こうして、神話からは姿を消すものの、その後、民間信仰の中で恵比寿さまとして復活。やはり神の資質はあったようです。

 本書を読んでいると、近所の神社に祀られている神様がどんな神様か知りたくなってきます。神様のことをよく知った上で改めて参拝すれば、より多くのご利益を授かることができるかもしれません。