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「心が震えるほどうまいビール」への近道 新幹線に乗るなら16号車で!

文・イラスト:藤原ヒロユキ

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第28回「マスターズドリームハウス」(東京・丸の内)

 上りの東海道新幹線は、16号車に乗りたい。
 東京駅に降りた時、日本橋口に近いからだ。
 高田馬場に住んでいる私は、東京駅から地下鉄東西線に乗り換えて帰る。それには日本橋口が一番便利なのだ。

 しかし、関西や東海方面から上りの東海道新幹線を利用して高田馬場に至るルートを検索すると、品川駅で降りて山手線に乗り換えるのが最短と出る。地下鉄に乗る必要もないので料金も安い。
 東北、上越、北陸新幹線も、東京駅まで行くよりも上野で下車して山手線に乗り換える方が早い。それどころか、検索によると大宮で下車して埼京線で池袋まで行き、山手線に乗り換えるほうがさらに早いとのことである。もちろん料金も安い。
 しかし、なぜか「東京駅まで乗っていたい」という気分になる。
 なぜなんだろう?

 東京駅は世界に誇れる駅だと思う。だから「東京駅まで乗っていたい」という気分になるのだ。
 私は職業柄、国内はもとより海外にも旅する機会が多く、さまざまな“駅”を見てきたが、東京駅はトップクラスに面白い駅だと思う。丸の内駅舎のクラシカルなレンガ作りと八重洲側の近代的な佇まい。迷ってしまいそうな構内のエキナカ・レストランやお土産売り場。おびただしい数のプラットホームと入線するさまざまな車両。秩序と混沌のバランスが素晴らしいスポットだ。

 自ら“東京駅フォトグラファー“と名乗る佐々木直樹氏の『東京駅100周年 東京駅100見聞録』には、東京駅に関する100ものエピソードが写真を添えて紹介されている。屋根の銅板は100トンだとか、「東京駅」という名のカクテルがあるバーなど面白い話がいっぱいだ。写真がとても美しく、うっすらと雪化粧した東京駅の夜景などは秀逸である。37ページ「買うなら、今でしょ!東京駅記念飲料」の写真の一番右に私がラベルのイラストを描いた100周年記念ビールが写っているのも嬉しい限りだ(笑)。

 「東京駅まで乗っていたい」という気分になる理由は他にもある。
 それは、「東京駅が始発駅であり終着駅」だからだ。
 旅が始まり、旅が終わる。線路が始まり、終わっている。
 特に“旅の終わり”には、終着駅が必要なのである。
 旅の余韻に浸りつつも、日常生活へスイッチを入れ直すために、“一息”が必要だ。

 そしてそこには、美味しいビールがなくてはならない。

 東京駅日本橋口を出て、長距離バスが発着するロータリーを右に回れば、「マスターズドリームハウス」がある。サントリー・マスターズドリームの旗艦店だ。
 サントリーのウェブサイトによると、マスターズドリームは、醸造家が「心が震えるほどうまいビールを造りたい」という思いを「効率や生産性ではなく、うまさだけを追い求め」て造り上げた「醸造家の夢のビール」とある。

 伝統種のダイヤモンド麦芽、ヨーロッパ産のアロマホップ、天然水を原料に銅製循環型ケトルを使ってトリプルデコクション(麦芽を糖化する工程で、粥状になっている麦芽の一部を別の釜に取り出して煮沸し、元の釜に戻すことによって昇温するデコクション製法を3度繰り返す)を行っている。麦芽の旨味と深い味わい、さらには上品なホップの香りが漂うビールである。色も一般的な日本のビールより若干濃い黄金色で、ゴージャスに輝く。

 終着駅での一杯がマスターズドリーム。
 旅の締めくくりとして最高の贅沢である。それが「マスターズドリームハウス」での一杯ならば言うことはない。神泡と呼ばれるクリーミーな泡が旅の疲れを癒してくれる。
 他にも、ザ・プレミアム・モルツ、ザ・プレミアム・モルツ〈香るエール〉、ザ・プレミアム・モルツ〈黒〉も揃っているので、一杯では帰れない?(笑) 
 メニューには、ジューシーチキンバスケット、“香る”魚介サラダ、肉々餃子、プライムビーフと青ねぎのガーリックピラフなど、美味しい料理が並んでいるので、もー止まらない。すっかり腰を落ち着かせて飲んでしまう。

 ん? 誰だ、「16号車に乗れば、日本橋口が近く、東西線に乗り換えやすい」なんて言ってたのは。
 16号車に乗れば、日本橋口が近く、「マスターズドリームハウス」に行きやすい。が正解だな。

 東京丸の内の「マスターズドリームハウス」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。