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トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』のあたたかいジュースを動画で味わう 

「ママのぬくもり」を食べる トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の冬』

 「あの小説をたべたい」は、好書好日編集部が小説に登場するごはんやおやつを料理し、食べることで、その物語のエッセンスを取り込み、小説の世界観を皆さんと共有する記録です。

 今回は、いよいよ本格的な冬到来!ということで、トーベ・ヤンソンの『ムーミン谷の冬』で冬をたっぷり楽しもうと思います。

 冬になり、ムーミンパパやムーミンママと一緒に冬眠したムーミントロール。ところが、まだ春もやってこないのに、ムーミンはなぜか一人だけ目を覚ましてしまいます。初めて見る雪に、新たな出会い。ムーミンにとって初となる冬の冒険が始まります。それはムーミンシリーズにおいても同様で、本作が唯一、冬のムーミン谷を描いた作品です。

「ママのぬくもり」を食べる

 寒い冬には、やはり温かいホットドリンク。それはムーミン谷でも変わらないようで、「あたたかいジュース」が物語にしばしば登場します。

ママはあたたかいジュースをつくりに、台所へでていきました。

 「あたたかいジュース」といってもなかなかイメージが浮かびませんでしたが、いろいろとリサーチしてみると北欧にはクリスマスシーズンに飲まれるホットドリンクに「グロッギ」と呼ばれる飲み物があるとのこと。いわゆるホットワインのことですが、子ども向けにはグレープジュースやクランベリージュースなどをベースにシナモンやグローブなどのスパイスで煮込んだものもあるそうです。

ひみつの戸だなから、グレープジュースをとりだしました。
お湯がわくと、ママは、おさとうとしょうがと、(中略)しなびたレモンをまぜて、よくきくかぜぐすりをこしらえました。

 とはいえ、大人な好書好日編集部は、赤ワインをベースにリンゴやオレンジ、しょうが、シナモンなどのスパイスを投入し、鍋でグツグツ。煮てアルコールはほとんど飛ぶので、お酒が弱い人でも美味しくいただけます。

それからママは、ねんのために、かぜぐすりの上で、みじかいおまじないを、むにゃむにゃととなえました。
「あついうちに、のむのよ」 ムーミントロールはのみました。気持ちのいいぬくもりが、つめたくなったおなかに流れこみました。

 ママの愛情も加わった、ムーミンの「あたたかいジュース」。飲むと本当に体の芯からポカポカになります。寒い冬だからこそ味わえる「気持ちのいいぬくもり」は、この冬、ちょっとクセになりそうです。