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論壇回顧2018 荻上チキさん、小熊英二さん、松原隆一郎さんの「私の3点」

荻上チキ 評論家・ラジオパーソナリティー

  • 国会パブリックビューイング…(1)
  • 記事「拝啓 伊藤詩織様」(クーリエ・ジャポン、12月6日)…(2)
  • 佐々木亮「〈大量懲戒請求〉提訴に至る経緯とその意義について」(Yahoo!ニュース個人、11月2日)…(3)

 (1)はデータ改ざん・不誠実答弁が相次ぐ国会を可視化する街頭運動。(2)は93年にローマで性暴力にあった被害者が「#metoo」で連帯。(3)は過熱するウェブ上での他者叩(たた)き、経緯と背景を分析。

小熊英二 慶応大学教授(歴史社会学)

  • 海妻径子「フェミニズムの姉妹、保守とリベラルのキマイラ――軍事強硬主義的女性保守政治家の支持獲得構造とイメージ機能」(現代思想2月号)
  • 束原文郎「学歴差・男女差・競技差を直視せよ」(中央公論10月号)
  • 村島正彦「超高層マンションの歴史と展望」(都市問題10月号)

 毎月の論壇時評で取り上げきれなかった論考から順不同で選んだ。時評で取り上げることができた論考では、小林美希「職業としての保育園」(世界2、3月号)が労作だった。

松原隆一郎 放送大学教授(社会経済学)

  • 六辻彰二「世界の潮流に逆行する水道民営化」(WEBRONZA、12月15日)…(1)
  • 加藤尚武「防災と確率――思想としての防災」(表現者クライテリオン19年1月号)…(2)
  • 田中明彦「貿易戦争から『新しい冷戦』へ」(中央公論11月号)…(3)

 市場の効率性を生かそうとする新自由主義政策は将来が過去の統計から予測可能と想定する。対照的に公共財=(1)や防災=(2)、世界秩序=(3)は、予想不可能を前提に形成するしかない=朝日新聞2018年12月26日掲載

>朝日新聞論壇担当編集委員による回顧記事はこちら