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マンガは命の次に大事なもの ウエイトリフティング・横山太偉雅さん(前編)

文:熊坂麻美、写真:時津剛

「壁ドン」より「ほのぼの」が好き

――どうしてそんなにマンガが好きなんですか?

 両親も姉もマンガ好きで、物心ついた頃から家にマンガがたくさんありました。その影響が強いと思います。絵とストーリーが手の中でどんどん進んでいく感じが楽しかったし、マンガを読むと自然と言葉や漢字を覚えられるじゃないですか。自分けっこうバカなんですけど、漢字を書くのは苦手でも読むのは昔から得意でした。それはマンガをたくさん読んできたおかげです。

 最初は『こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)』から始まって、母が読んでいた『ラブ☆コン』『高校デビュー』『紅色HERO』とかも読みだして。小5くらいからはレンタルショップでいろんなジャンルを借りて、気に入ったマンガは自分で買うようになりました。少女マンガは母に薦めて買ってもらっていましたけど(笑)。

――少女マンガは基本的には恋愛主体のキラキラの世界ですよね。それを楽しんでいる感じですか?

 そうですね。『君に届け』とか『アオハライド』とかガチガチのラブストーリーももちろん面白いですけど、自分はもうちょっと日常寄りのほうが好きで。だって「壁ドン」とか現実にはないじゃないですか。自分の日常にないだけですかね(笑)。

 一番好きなのは『LOVE SO LIFE』です。これは主人公の高校生の女の子が双子のベビーシッターになる話。これまで読んだ少女マンガのなかで一番ほのぼのしていて、そこがすごく好きです。高校生がベビーシッターという設定はマンガっぽいですけど、家族の温かさや日常の大切さみたいなこともしっかり描かれています。現実に寄り添いながらほんわかさせてくれるのが、自分としてはたまらんところです。

――壁ドンよりほのぼのがお好みなんですね。今回挙げてくださった『かぐや様は告らせたい』はラブコメ。またちょっと雰囲気が違いますね。

 もともと『東京喰種』が好きでヤングジャンプを読んでいたときに『かぐや様』を見つけました。恋愛モノだけど「告白させあう」という今までにない設定がおもしろくて、すぐ全巻を揃えました。これは自腹を切っても買うべきや、と。

 主人公の白銀とかぐやはお互いのことが好きなんですけど、「恋愛は告白したほうが負け」という謎の価値観で策略をぶつけ合います。ふたりが天才的な頭脳を無駄に使って、連絡先の交換とか相合傘とかをどたばたやる感じがすごくおもしろいんです。掛け合いとか言葉のセンスとか、まるで漫才を見ているみたいで。

「かぐや様は告らせたい」2巻より ©赤坂アカ/集英社
「かぐや様は告らせたい」2巻より ©赤坂アカ/集英社

――たしかに、テンポのいいセリフの応酬に引き込まれます。しょうもないことを高尚にやっている感じや、ころころ変わるキャラの表情にも笑ってしまいます。

 本人たちが真剣にやっているのがおもろいんすよね。『かぐや様』は基本的には1話完結で、毎回しっかり話が作りこまれています。自分はどのマンガも繰り返し読むのですが、それは1回読んだときに素通りしていたことや違う風に捉えていた言葉の意味を、2回目3回目で発見できたりするからです。それが好きだから『かぐや様』も何度も読んで、小さいコマに書いてあるツッコミとかを見つけて笑っています。

ゆるふわの藤原さんに応援されたい

――ピュアなかぐやさんのツンデレっぷりもかわいくて見どころですよね。生徒会書記の藤原さんのおとぼけぶりもいい感じで、そういう意味では横山さんの好きなほのぼの要素もありますね。

 はい。かぐやがポッとしとるところは、自分もかわいい気持ちになって見ています。でもキャラとして好きなのは藤原さんと早坂さんです。

 藤原さんは天然でちょっとポンコツですけど、やるときはやる、できる子なんです。白銀とかぐやのバトルに藤原さんの天然でオチが付くことも多くて、実はキーパーソンでもあります。ゆるふわでかわいいので、試合の応援に来てもらいたいタイプです(笑)。

 一方の早坂さんはお嬢様であるかぐやの近侍だから、すごくしっかりしていてクール。8巻に好きなエピソードがあります。かぐやが白銀に対する胸のドキドキを心臓病と言い張って病院に行くんですけど、その世間知らずのポンコツぶりに早坂さんがたまらなくなって、顔を赤くして恥ずかしがっとるところが、めちゃくちゃかわいくて。早坂さんはクールに見えてお母さんがすごく好きだったり、実はかわいい人なんです。自分はそこに惹かれています。

――あの、私はいま横山さんがたまらなくかわいいと思ってしまいました(笑)。女子にそう言われないですか?

 一度もないっすね。自分は中2からウエイトリフティングをやっていて、高校は工業高校で女子がほぼいなかったし、そういう環境じゃないんです。ずっとウエイト漬けで高校生活は別に楽しくなかったですし(笑)。だから『かぐや様』の世界は楽しそうでいいなあと思っちゃいますね。かわいい女子に囲まれている白銀がうらやましいです。

――大学生になって、よりウエイト漬けの毎日ですよね。マンガは休みの日に読むのですか?

 練習のある日も、睡眠時間を削って夜に読みます。寮の自分の部屋にバトル系やグロい系も含めて80冊くらいあって、この連載で同じウエイト選手の三宅宏実さんが紹介していた『キングダム』も全巻持っています。

 ウエイトは練習がきついから、マンガは自分の癒しです。休みの日はだいたい、マンガを読んで和んで寝て。そういう過ごし方です。もはや自分の一部だから、なかったら死ぬ(笑)。命の次に大事かもしれないっす。もしマンガとウエイトどっちか選べと言われたら、自分はマンガを選びます。

――そんなにも(笑)。今のは書いてもいいですか? 監督さんに怒られませんか?

 たぶん大丈夫だと思います。自分、練習は真面目にやっているので(笑)。ウエイトを頑張るためにも、マンガは欠かせない存在ということです!

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