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人と世界の関係を語るために

考えるための日本語入門 文法と思考の海へ 著者:井崎正敏 出版社:三省堂 ジャンル:言語・語学・辞典

価格:2052円
ISBN: 9784385360973
発売⽇: 2018/11/15
サイズ: 20cm/222,6p

日本語で考えるとは、日本語の文法とどのようにかかわりあうことなのか。「そこ」と「それ」、助詞の「は」や「が」などをキーワードに、思考という観点から日本語の文法構造を探究す…

評者:野矢茂樹 / 朝⽇新聞掲載:2019年01月26日

考えるための日本語入門 文法と思考の海へ [著]井崎正敏

 世界はさまざまな意味をもって現れる。そうした意味は私たちが使う言葉と本質的に結びついている。だから、世界と言葉と人間は相互に結び合い、切り離すことはできない。
 そんなことに興味をもっていて、しかも日本語という言語にも興味をもっている人に、本書を薦めたい。とくに、山田、時枝、三上らの日本語学に興味をもちつつも、勉強してこなかったので山田孝雄(よしお)を「ヤマダタカオ」などと読んでしまう人(ああ、私だ)、この本はとても勉強になるに違いない。そして、私たちが何気なく使っている日本語が、人と世界の関係を語るためにいかに精妙に作られているかを、深く感じさせられるだろう。
 ただし、相手は日本語であるから、そう一筋縄ではいかない。少なくとも一読すっきりとはいかないだろう。むしろ私は日本語文法の海の中に突き落とされたような心持ちがしている。そして溺れそうになって、喜んでいる。