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古代の「お役所」のあり方、硯や墨書土器などで探る 「埼玉の官衙」展

末野窯跡群出土の獣脚硯=埼玉県教育委員会蔵

 古代のお役所、その実態は――。埼玉県立歴史と民俗の博物館(さいたま市)の企画展「埼玉の官衙(かんが)」は、各地に置かれた「国」やその下の行政単位の「郡」に置かれた役所「官衙」を中心に、古代の行政のあり方を探る展覧会だ。

 展示の中心になるのが、役所などで使われたと考えられる各種の硯(すずり)や、表面に文字が書かれた「墨書(ぼくしょ)土器」、宴(うたげ)などで使われた食器群だ。中でも硯は、下部が獣の脚の形をした大ぶりの獣脚硯(じゅうきゃくけん)(寄居町末野窯跡群出土)、円い円面硯(えんめんけん)(川越市霞ケ関遺跡群出土)など多彩。墨書土器も、役人に食事を提供した厨家(くりや)という施設を示す「厨」の字が書かれたもの(東松山市西浦・山王裏遺跡)など、歴史の息吹を伝える。

 武蔵国の北半分を占める埼玉県をテーマにしつつ、最近の発掘成果である幡羅(はら)官衙遺跡群(熊谷市・深谷市)や、古代の公道「東山道」を軸に、わかりにくい部分が多い古代の役所の全容を約200点で上手に紹介する。地味だが佳品の展覧会だ。2月17日まで、11日を除く月曜休み。(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2019年1月30日掲載