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ソフトボール帰りに、あるときは花見客として22年間寄り添ってきたビアバー

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第40回「T.Y.HARBOR (ティー・ワイ・ハーバー)」(東京・天王洲)

 1997年の夏、39歳の私は天王洲の球場でソフトボールをしていた。
 外野フェンスの向こうは、すぐに運河で、レフトを守っていた私は、背後から吹いてくる風の中に潮の香りを感じていた。
 その試合に勝ったのか負けたのか? 記憶は定かではない。
 しかし、試合後に訪れた「T.Y.HARBOR」で飲んだペールエールの美味さははっきりと憶えている。

 レストランの奥にある醸造所で造られたそのビールは、アメリカンホップの素晴らしい香りと苦味、酵母の醸し出すフルーティーなアロマ、ほのかなモルトの甘味が絶妙だった。素晴らしいバランスのビールだと感じた。
 運河を臨むロケーションも素敵だった。バース(船着場)があり、気品のあるボートが停まっていた。料理はハンバーガーやステーキといった典型的なアメリカ・キュイジーヌだった。
 私は「T.Y.HARBOR」に心を奪われた。

 2008年の冬、50歳の私は小型船舶の免許を取った。 
 船の操縦には以前から興味があったのだが、私とは縁のない“上流階級の方々の趣味”だと思っていた。
 「船の免許は、自動車免許の数倍の値段と日数がかかるんだろうなぁ」なんて思っていたのだが、実際は10万円程度で、スクールに通うのは3日間だと聞き、「想像していた金額よりは安く、短期間だ。ちょっと思い切ってみるかぁ」とチャレンジした。(ちなみに、今はタブレットやスマホなどで受講するコースもあり、費用も8万円代で受講は1日なんてのもあるとのことだ)

 免許を取ってすぐ、ヤマハのシースタイルというクラブに入った。全国約140カ所のマリーナが利用でき、レンタル料金は「6人乗りの船が3時間で4400円〜」である。けっして、“一部の上流階級の方々の趣味”ではないと感じた。
 舵社の『東京湾クルージングガイド』を見ながら、レンタル艇で東京湾の水路を巡った。
 お花見の季節には、船で「T.Y.HARBOR」のバースに着岸し、瓶ビールを買って目黒川を上ったりした。(現在は残念ながら、ゲスト船の着岸は受け付けていない)
 船から見る「T.Y.HARBOR」は、さらに一層美しかった。

 他にも「T.Y.HARBOR」では、2010年11月に展覧会(今はテラスに向かう窓の部分が壁で、そこに定期的に絵画が掛けられていた)、2011年9月にはユーストリームの中継にも使わせていただいた。
 もちろんプライベートで何度も訪れ、たくさんのビールを飲んだ(笑)。

 2019年の春、60歳の私は天王洲運河に架かる橋を渡り「T.Y.HARBOR」に向かっている。
 初めて「T.Y.HARBOR」を訪れてから22年の月日が流れた。
 その間に「T.Y.HARBOR」には、ベーカリー「breadworks」、スイーツショップ「Lily cakes」、水上レストラン「リバーラウンジ」、そしてパイロットブルワリー(実験的なビール醸造所)を臨みながらボトルビールやTシャツやバッグなどのグッズが買える「ブルワリーショップ」が併設された。
 そして私は、30代から60代になった。

 今日は、テラスでペールエールと‥‥‥、月替わりの「SEASONAL BREW」かパイロットブルワリーで造られた「LIMITED BREW」のビールを飲もう。去年は、私が京都の与謝野町で育てたフレッシュホップを使ったブリュットIPA「与謝野スパークリング」がリミテッドブルーで出ていた。あれ、今年も造ってくれるかなぁ?(笑)

 帰りには、「ブルワリーショップ」でグラウラー(生ビールを注いでもらって持ち帰ることができるボトル)に麦芽の魅力がたっぷりのアンバーエールかフルーティーでスパイシーなウィートエールを詰めてもらおう。焙煎モルトの香りと苦味がしっかりとしたインペリアルスタウトもいいなぁ。

 20**年、**歳の私はどこでなにをしているのだろか?
 ソフトボール? 船の操縦? 展覧会? ユーストリーム(はすでに無いからユーチューブ)配信? 「T.Y.HARBOR」でビール?
 !!「T.Y.HARBOR」でビールってのは間違いなさそうだな(笑)。

 天王洲の「T.Y.HARBOR」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。