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両国といえば日本クラフトビール界の横綱「ポパイ」 徹底管理されたタップが100本!

文・イラスト:藤原ヒロユキ

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第43回「麦酒倶楽部POPEYE」(東京・両国)

 両国といえば、国技館だ。
 国技館は、日本相撲協会が管理運営しており、主な用途は相撲興行である。
 両国の回向院で行われていた相撲興行に端を発して建てられた国技館は、一時期は蔵前に居を移していたが、「やっぱ、国技館は両国でしょぉー」ということで、JR両国駅の北側に再建された。
 ちなみに住所は横網1丁目である。“よこづな”ではなく“よこあみ”だが、読み間違える人が多いので1960年代に「もー、よこづな(横綱)1丁目にしてしまわない?」という案が出たとも聞く。

 大相撲の本場所は年に6回開催されるが、国技館では1月の初場所、5月の夏場所、9月の秋場所の3回が行われる。
 ひと場所は15日間で、日曜日から次々週の日曜日まで開催され、開場は午前8時である。8時半頃には序の口と呼ばれるランクの取り組みが始まり、午後6時前まで行われる。
 「日程の3分の2が平日で、午前中(というか、ほとんど“朝”!)から始まって午後6時には終わっちゃう」なんてプロスポーツの興行が成立するなんて驚きだ(笑)。

 両国といえば、江戸東京博物館も有名だ。
 東京都歴史文化財団が運営する博物館で、1993年に開館した。空中に浮かんだような高床式の建物は高下駄式と揶揄されることもあるが、個人的には好きな場所である。
 なぜ好きか?
 実は私、「タイムスリップするなら、江戸時代がいいなぁ」なんて密かに思っているので、江戸時代の長屋を再現した展示や街並みのジオラマを見ると心が踊るのである。

 『一日江戸人』(杉浦日向子著)を読んでいると、江戸時代は、生涯アルバイターで過ごす人、月に10〜15日程度しか働かない人もいたとのことだ。のんびりと自由に暮らしていたのだ。
 だから、平日の昼真っから相撲観戦。なんてのもアリだったんだねぇ。
 この本には相撲に関しても多く書かれていて、当時の力士は各自が自分好みのかたちの髷で、櫛をさしている者もいたとのことだ。自由なのだ。

 相撲も江戸東京博物館も両国の魅力だが、私が両国に足を運ぶ理由は‥‥‥、他にも大きなお目当がある。
 それが「麦酒倶楽部ポパイ」である。
 今、日本でクラフトビールのムーブメントが花開いているのは「麦酒倶楽部ポパイ」があったからだ。

 日本で小規模醸造が始まった1995年にいち早く“地ビール”を導入し、翌96年には「全国の地ビールを飲める店」と銘打った。1998年にはタップ数を20本、2002年に40本、2008年に70本、2012年には100本へと増設していった。
 もちろん、単に数を増やしていっただけではない。品質に対する厳しさも卓越している。毎日開店前にスタッフがビールのテイスティングをおこなうのは当たり前のこととして、その際の天気や気温や気圧を書きとめているという。

 この話をオーナーの青木辰夫さんから聞いた時、私は「気圧!?」と驚愕したのを覚えている。気圧だなんて、思ってもみなかったからだ。しかし、炭酸の刺激もビールの魅力のひとつなのだから、ビールを味わうためには気温以上に気圧は大きな要素だと言える。「麦酒倶楽部ポパイ」では、ビールをサービングする際のガス圧をビールの種類ごとに調整している。
 もちろん、ガス圧の調整を細かく行なっている店も増えてきているが、このシステムに関しても青木さんが他の店へアドバイスしていったことによって普及してきたのである。

 他にも、「ビアワングランプリ」というビアコンペティション&フェスティバルのオーガナイズや、レイトビアというビールランキングサイトで世界ベスト5のビアバーに選ばれたり、ストレンジブルーイングというクラフトビール醸造所を立ち上げるなど書き連ねるときりがないほど、「麦酒倶楽部ポパイ」の青木さんの足跡は素晴らしい。
 まさに、日本のクラフトビールの先駆者であり牽引者なのだ。

 両国といえば、国技館も江戸東京博物館も確かに有名だ。
 でも、私にとって両国といえば、やっぱ「麦酒倶楽部ポパイ」に他ならない。

 両国の「麦酒倶楽部ポパイ」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。