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平成の30冊・読者が選んだ私の1冊③壮大なる世界観

『ローマ人の物語』(塩野七生、新潮社、1992年)

 人類の歴史上、初めて構築された世界帝国ローマ――その一千年の興亡には20世紀を生きる我々の根源的営みの座標軸が全て刻みこまれている。(新潮社ウェブサイトより)

・平成30年間を通じて、ローマに始まる西洋史を追い続けた本作が、「平成の30冊」に入っていなかったのは驚き。古代と現代の比較、西洋と東洋の比較、女性作家ならではの男性への苦言など、種々の想いが詰め込まれた平成から、後代に残しておきたい一作だと思う。(東京都・Nick)

・この30年、インターネットの浸透とともに失われていった「正しい人」あるいは「正しい生き方」、それが示されている。読み通すには膨大な時間と労力が必要だが、費やすに値する。(愛知県・itofam)

『ハリー・ポッターと賢者の石』(J・K・ローリング、松岡佑子訳、静山社、1999年)

 平凡な俗物のおじ、おばに育てられ、同い年のいとこにいじめられながら、ハリー・ポッターは何も知らずに11歳の誕生日を迎える。突然その誕生日に、ハリーに手紙が届く。魔法学校への入学許可証だった。キングズ・クロス駅の「9と3/4番線」から魔法学校行きの汽車が出る。ハリーを待ち受けていたのは、夢と、冒険、友情、そして自分の生い立ちをめぐるミステリー。(静山社ウェブサイトより)

・世界を代表する児童文学であること、何より私か一番夢中になった本だからです。学校の休み時間に、始業のチャイムにも気がつかないほど熱中して読んでいました。続きがどうしても気になって授業中に読んで先生に叱られたのも懐かしい思い出です。魔法の杖と箒、それからワクワクする冒険。そんな素敵なものが一冊、一冊に詰まっている本です。(京都府・ちーこ)

・英語の原書を求めて真夜中の書店にファンが列をなしたことも、文芸社会では大きな出来事だったと思います。我が家ではあのブームの後生まれた子供たちが現在2次ブームというべき熱中ぶりで、今後長く愛されていくことを実感しました。(岡山県・タナボタばんざい)

『21世紀の資本』(トマ・ピケティ、山形浩生・守岡桜・森本正史訳、みすず書房、2014年)

 経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか? 資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか? 所得の分配と経済成長は、今後どうなるのか? 決定的に重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かす。(みすず書房ウェブサイトより)

・格差拡大が継続する本質的原因とその対策を明示し、なおそれが是正されない理由を大量かつ多様な具体的データを基に紐解いた。(東京都・ザイール)

・「格差」というものに焦点をあてたことが、平成という時代を象徴している。(千葉県・たつよし)

『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ、柴田裕之訳、河出書房新社、2016年)

 国家、貨幣、企業……虚構が他人との協力を可能にし、文明をもたらした! ではその文明は人類を幸福にしたのだろうか?(河出書房新社ウェブサイトより)

・この世界の「大前提」は、大人の側にあるとばかり思っていたのだが、それは大きな間違いで、正しくは、子供が純粋に発する「なんで?」の方にあったのだ。理解できない子供が愚かなのではなく、理解したつもりで生きている大人たちが、相当なムリをして日々回しているのが、「この世界」だったのか。この「大前提」が覆っていくときの衝撃は、頭の中の脳みそが大混乱しつつも、どこかホッとしたりもしていて、昔の自分の「どうして?」に、ようやく正しい回答をしてあげられた気がしました。(東京都・深夜ポテチ)

・人類の来し方を独自視点で平明に描いていて、人類史の名著です。しかも行く末をも続編で示唆してくれました。しばし平成日本が抱える課題を忘れさせてくれて、壮大な人類史に遊びました。(埼玉県・ゆうちゃん)