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翻訳ミステリー大賞に「カササギ殺人事件」

 「第10回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンション」が4月14日に開かれ、『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ著、山田蘭訳、創元推理文庫)が大賞を受賞した。ミステリーファンの琴線に触れるたくらみに満ちた話題作が、昨年末の主要ミステリーランキング1位制覇に続く栄冠を手に入れた。
 同大賞は2009年に創設、現役翻訳家による投票で選ばれている。第1回大賞の『犬の力』(ドン・ウィンズロウ著、東江一紀〈あがりえかずき〉訳)はミレニアム・シリーズをおさえての受賞。第2回の『古書の来歴』(ジェラルディン・ブルックス著、森嶋マリ訳)はウィンズロウ作品などを退け受賞した。「世評を後追いするような賞にしたくない」と発起人の田口俊樹さんは語る。
 『カササギ殺人事件』は既に昨年末の「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「本格ミステリ・ベスト10」「ミステリが読みたい!」で1位を総なめにし、史上初の4冠を達成した。“逆風”ともいえる中での大賞に、訳者の山田さんは「ミステリーっていいよね、みんな好きだよねという本。そこを、ミステリーを好きな方が評価してくれたのだと思う。これを読んだ人が別の翻訳ミステリーを読むきっかけになるといいなと思います」とスピーチした。(藤崎昭子)=朝日新聞2019年5月1日掲載