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イギリスのパブ文化を伝えるお店で「リキッド・ランチ」からスタート!

文・イラスト:藤原ヒロユキ

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第47回「82AKIBA TOLIM店」(東京・秋葉原)

 午前11時05分。
 今日の昼ごはんは、リキッド・ランチにしよう。
 “リキッド・ランチ=液体の昼ごはん=ビールだけで昼ごはんをすませる”というものである。568ml入りのUKパイントグラスを2杯も飲み干せば、胃袋は充分に満たされるに違いない。

 午後4時30分。
 もう今日はこのへんで切り上げて飲み始めるとするかぁ。
 ハンドポンプから汲み出されるリアルエールに、いきなりハギスやローストビーフなんてのからいっちゃおうかなぁ。コンビーフリエット、バッファローチキン、燻製風味の枝豆なんかもいいなぁ。

 午後10時55分。
 う〜ん、このまま帰るには‥‥‥。なんかちょっと飲み足りないなぁ。
 締めにもう1杯ひっかけたい。
 焙煎された大麦のこうばしい香りと苦味、ブラックダイヤを思わせる漆黒の液色、ベルベットのような滑らかな舌触りの泡――すなわちドライスタウト!
 生チョコかミックスナッツでもつまみながら、小1時間かけてゆっくり飲んで仕上げたい。

 そんな気分の全てを満たしてくれるのが、「82AKIBA TOLIM店」だ。午前11時から午前0時まで、ビール好きの欲望を満たしてくれる店である。
 「82AKIBA TOLIM店」は全国に94店あるHUBと15軒ある82の系列店だ。
 HUBは、日本に「英国のパブ文化」を根付かせたいという思いから、1980年に1号店がオープンした。82はその“やや年齢層が高い”“落ち着いた”雰囲気のお店といった感じである。

 さて、それでは「英国のパブ文化」とはいかなるものか?
 パブが「パブリックハウス=公共の場」の略であることからもわかるように、単なる酒場ではなく、地域のコミュニティ・センターのような存在である。英国人は、パブでビールを飲みながら、友達や知り合いと語りあったり、ゲームを楽しんだりする。

 平凡社『イギリスPubウォッチング』(デズモンド・モリス、ケイト・フォックス著、林望訳)を読むと、イギリス人のパブでの生態やお作法、ルールを知ることができて面白い。
 たとえば第2章に書かれているラウンド・バイイング(バイイング・ア・ラウンドとも言われる)。グループで飲む場合、1杯目はA君が全員のビールを買いに行って支払い(キャッシュ・オン・デリバリーなので)、2杯目はB君、3杯目はC君といった具合に一周することによって割り勘にするという方法が一般的であると紹介されている。

 他にも、全員が始めに“同じ金額をテーブルの上に出して、そこから払っていく”キティー(共同積立)という割り勘方法もあるとのことだ。予算がなくなった時は、追加徴収をするか? を全員で決めるという民主的な方法(?)である。
 私の今日の予算は3000円としよう。テーブルの上に1000円札を3枚並べて、独りキティーだ。リーズナブルな「82AKIBA TOLIM店」なら、かなり飲んで食えるぞぉ。

 まずは本日のゲストビール「TGBペールエール」とザ・フィッシュ&チップス。ビールから漂うホップのアロマと、酵母が醸し出すフルーティーなフレーバーを楽しみながら、モルトヴィネガーをバシャバシャとかけたフィッシュフライを頬張る。クゥ〜。これこれ。この組み合わせがあれば他に何もいらない。なんて、嘘ウソ。他にも美味しいビールと料理がいっぱいあるぞぉ。
 3000円では、足りないかな? 追加徴収の是非は全員で決めるべし。って、私、独りかぁ。
 「追加徴収に賛同の方、挙手願います」
 「はい!」
 全員一致で追加徴収となりました(笑)。

 秋葉原の「82AKIBA TOLIM店」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。