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“ぐでんぐでん”と“べろんべろん”はどっちが酔っ払っているか 立ち飲みのビアバーで確かめて?

文・イラスト:藤原ヒロユキ

To The Beer Bar~ちょいのみ親父の探訪記~ 第49回「ビアスタンドモルト (BEER STAND molto!!)」(大阪・梅田)

 阪急梅田駅こそ日本一のターミナル・ステーションだと思う。

 ターミナル・ステーションという言葉を「多くの路線が乗り入れる巨大な駅」と思っている日本人が多い。
 しかし、「terminal」は「終わりの、終着の」という意味であり「terminal station」は「終着駅」と訳されるのが正しい。線路がその駅で終わっていなければならないのだ(多くの路線が乗り入れる駅はハブ・ステーションである)。
 路線の総合乗り入れ・直通運転が増え、本当のターミナル・ステーションが減っていく中、阪急梅田駅はプラットホーム10面に9路線が終着する“ほんまもん”のターミナル・ステーションだ。阪急マルーンと呼ばれる栗色の車輌がズラリと並ぶ風景は壮観である。

 この梅田駅に併設されたショッピングセンター「阪急三番街」の南館1階に「北向地蔵尊」がある。
 通勤客や観光客が行き交う都会のど真ん中に、赤い提灯が並ぶ地蔵尊が鎮座する風景は一瞬「なんでここにお地蔵さんが!?」とたじろぐ(?)が、非常に由緒正しい地蔵尊である。1891(明治24)年に畑から、自然石に刻まれた地蔵尊が偶然掘り出され、当時の地主・仲谷弥三兵衛が世話人となり同10月16日に建立された。当時は50メートルほど離れた場所にあったのだが、1969(昭和44)年、阪急三番街の建設に伴いこの場所に移されたとのことだ。 

 この「北向地蔵尊」から北側に延びる細い通路「地蔵横丁通り」に「ビアスタンドモルト」という立ち飲みビアバーがある。
 立ち飲みの利点のひとつは“自分がどれほど酔ったか”を把握できる点だ。立ったまま“ぐでんぐでん”にはなれないもんね(笑)。“べろんべろん”も“へべれけ”も“酩酊”も“泥酔”も無理っぽい。“ほろ酔い”ぐらいの状態でないと立って飲んでいられない。

 ところで、 “ぐでんぐでん”と“べろんべろん”はどう違うのか? どちらが酔っ払っているのか? この疑問に関して『くらべてわかる オノマトペ』(東洋館出版社)によると‥‥‥。それは読んでのお楽しみである(笑)。
 他にも“へとへと”と“くたくた”はどちらが疲れているかや、“ごくごく”と“ぐびぐび”はどちらが勢いよく飲んでいるかなどが記されている。

 このオノマトペ(擬声語)は関西人が得意とするところである。
 「郵便局はどこですか?」
 「この道ダァーッと行って、ドン突きを左にキュツと曲がったら、そのままビューで着くわぁ」なんて会話、関西ではよく耳にする。

 辞書をひくと、moltoは「極めて、非常に」とある。
 音楽用語のmolto allegroは「極めて早く」、molto adagioは「極めて遅く」を意味するとのことだ。
 ということは‥‥‥、ビアスタンドモルトは“ビアスタンドの極み”ってことか? クラフトビールがオン・タップで楽しめるうえ、ボトルも豊富である。ボトルのテイクアウトができるのもありがたい。

 終着駅にあるビアスタンドの極み。なんか、行き着くところまで行き着いた感じでええやないですかぁ。“いけいけどんどん”で。って、なんのこっちゃ(笑)。
 やっぱ大阪は楽しおますなぁ。

 大阪梅田の「ビアスタンドモルト BEER STAND molto!!」。
 本当に、いい店だ。また訪れたくなる。