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『千夜一夜物語』から「アラジンと魔法のランプ」のごちそうを動画で味わう

「アラブのごちそう」を食べる 『千夜一夜物語』より「アラジンと魔法のランプ」

 「あの小説をたべたい」は、好書好日編集部が小説に登場するごはんやおやつを料理し、食べることで、その物語のエッセンスを取り込み、小説の世界観を皆さんと共有する記録です。

 今回は『千夜一夜物語』の世界へ。

 妻に不貞を働かれ、女性不信となったペルシャのシャフリアール王は、生娘と結婚しては一晩で処刑することを繰り返していました。そんな王の行いを改めようと、大臣の娘シェヘラザードが王と結婚し、毎晩、王に興味深い物語を語り聞かせては命をつなぎとめていきます。『千夜一夜物語』は、シェヘラザードが語った物語を集めたアラブの説話集です。

「アラブのごちそう」を食べる

 そんな『千夜一夜物語』から、「アラジンと魔法のランプ」を味わってみることにしました。

 ディズニー映画でもおなじみの物語ですが、実はこのお話、『千夜一夜物語』本編では語られていないのだとか(同じく有名な「アリ・ババと四十人の盗賊」も本家本元の写本にはなかったのだそうです)。

 魔法のランプを手にしたアラジン。そうとは知らずに市場で売ろうと、汚らしいランプをこすると、ランプの魔神が出てきます。

 普通ならビックリしてしまいそうなシチュエーションですが、以前に指環の精を見たことがあったアラジンは魔神を前にしても物怖じしません。すかさず、自分たちの身分では買えないような、おいしい食べ物を持ってきてほしいと魔神に頼みます。

 魔神はちょっとのあいだ姿をかき消したかと思うと、すばらしく美しい、高価な食膳をもって舞いもどりました。というのも、その食膳は隅から隅まで白銀(しろがね)でこしらえたもので、その上にはいろとりどりの馳走(ちそう)や山海の珍味をはじめ、雪よりもまだ白いパンを盛った黄金の大皿が十二枚ものっていました。

 アラジンと母親ががつがつと貪るように食べたというからには、よほどの「ごちそう」なのでしょう。

 ごちそうといえば、やはり欠かせないのは肉料理。牛肉と鶏肉を串焼きにした「ケバブ」をメインに、スパイスを効かせた「アラブサラダ」やひよこ豆のペースト「フムス」など、アラブ料理といって思いつく限りのものをつくってみました。

 できあがりは、アラジンでなくともがっついてしまいそうな豪華さです。エキゾチックな味わいは、暑い夏にもピッタリ。この夏は、アラビアンナイトパーティーでアラブの世界に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。