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世界中の絵本表現の力に圧倒させられる「ボローニャ国際絵本原画展」開催

文・写真:日下淳子

 「ボローニャ国際絵本原画展」は、世界中の出版社が毎年イタリアのボローニャに集まる「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア」という児童書専門の見本市に伴って開かれる、絵本表現のコンテスト。世界的に注目され、選ばれた作品がイタリア、日本、韓国、中国の各国で紹介されるとあって、新人作家の登竜門としても知られている。今年は62カ国2901人の応募があり、27カ国の76人が入選した。

 会場となる板橋区立美術館は、2019年に創立40周年を迎える。約1年にわたる改修工事を経て、今年の夏に黒のシックな外観へとリニューアルオープンした。2階の展示室は開放感があって明るく、「ボローニャ国際絵本原画展」2019年のコンクールで入選した作品が一堂に展示されている。入選者の原画が飾られる他、その絵本を手に取って見られるようなスペースも用意されている。

 展示の中でも目を引くのは、刺繍やコラージュ、消しゴムハンコなど、さまざま手法で描かれた作品。既成の枠にとらわれない、斬新な発想力は、見る人を圧倒する。また海外ならではの色使いの多彩さ、緻密さ、一枚一枚の物語性など、原画ならではの作家のエネルギーが感じられた。

 台湾のタイ・ユィトンさんは、宇宙からやってきた「プルル」がいろいろな体験をする物語を描いた。すべて刺繍で彩られており、ラーメンをすする宇宙人の様子はとてもユニークだ。本人も日本のラーメンが好きなのだそうで、麺が少しずつ色の違う糸で丁寧に刺繍されている。

タイ・ユィトン(台湾)「プルル」より 刺繍

 本年の絵本原画展に日本から入選したのは、ちとせちとせさん、平佐実香(MICAO)さん、イケガミヨリユキさん、井上陽介さん、工藤あゆみさん、まえだよしゆきさん、間中ムーチョさん、ミヤタタカシさん、たなかやすひろさん、東郷なりささんの10人。黒一色のフェルトペンを使い、さまよううさぎの心情を描いたミヤタタカシさんの「まいごのうさぎ」、淡い色調を使い、消しゴムハンコで鳥のはばたく様を表現した東郷なりささんの「きょうは たびびより」など、秀逸な作品に魅了される。

東郷なりさ(日本)「きょうは たびびより」より「しっかり はばたけ!」  リノカット、消しゴムはんこ

 また、板橋区立美術館における本展のポスターやチラシは、入選者の工藤あゆみさんが絵を手掛けている。展示室の出口付近には、今回の展覧会のために書き下ろしたイラストの原画が並び、これまで手掛けた本を展示室内にて読むことができる。

 会期中には、しかけ絵本を作るワークショップや、作家を対象にした講座まで、絵本に関するさまざまなイベントも開催される。子どもから絵のプロまで、幅広く楽しめる原画展なので、ぜひ足を運んでみてほしい。