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「世界のスープ図鑑」 「何を入れるか」にも文化の違い

 夜ともなると肌寒くなってきた今日この頃。温かい食べ物が恋しくなってきませんか? そこで今回ご紹介したいのが「世界のスープ図鑑」。以前、当連載でも取り上げた「世界のサンドイッチ図鑑」(紹介記事はコチラ)の著者・佐藤政人さんが、今度は世界のさまざまなスープ317種類をオリジナルレシピとともにまとめた一冊です。

 本書を開いてみると、西ヨーロッパや東ヨーロッパ、北アメリカ、アフリカなど、国がエリアごとに分類されており、各国で愛される国民的スープやご当地ならではの珍しい食材を使ったスープ、特別な時に食すスープなど、ほとんど見たことがないようなスープがずらりと並んでいます。サンドイッチ同様、すべて著者自身で調理したということに驚かされます。

 わずかな食材や残り物などでも簡単にできてしまうことから、佐藤さん曰く「スープは庶民の食べ物」とのこと。だからこそ、スープは「故郷の味」であり「母の味」でもあると言います。

 とはいえ、中にはちょっと大胆な国民的スープも。「オーストラリアン・パイ・フローター」は、その名のとおり、パイが浮かんだスープ。オーストラリアはイギリスが宗主国だった歴史から、その食文化にも影響を受けており、ここでいう「パイ」とは伝統的な英国料理の一つでもあるミートパイで、スープはこちらも古くからイギリスに伝わるピースープを指すのだそう。大きなミートパイが緑色の豆スープに浮かぶ(厳密には浮かんでいない)姿はインパクト大です。

 佐藤さんによれば、紀元前2万年ごろから人類はスープを作って食べていたんだとか。スープと人類の長い歴史の中で、これからもスープはさらなる進化を遂げていきそうです。