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『「言葉」が暴走する時代の処世術』など注目の新書5選(朝日新聞2020年2月1日掲載)

『ことばの教育を問いなおす』

 英語教育・国語教育・社会学の専門家が「ことばの力」をどうとらえ、教育の実践に連動できるかを考える「言語教育論」。書きことばで対話する「対書」だ。大学入試改革の問題点も含め、改めて現代社会に必要な思考力を鍛えることに焦点を当てた。
鳥飼玖美子・苅谷夏子・苅谷剛彦著 ちくま新書・924円

『ハーレクイン・ロマンス』

 副題は『「無限競争社会」の苦悩』。副題は『恋愛小説から読むアメリカ』。同シリーズは世界114カ国で読まれ、英語版のほか28カ国語に翻訳、累計67億部が売れている。英国生まれのロマンス小説だ。ヒロインの最近の傾向は小柄から高身長へ、年齢設定も上昇、婚前交渉の描写も増加するなど、変遷が面白い。
★尾崎俊介著 平凡社新書・968円

『「言葉」が暴走する時代の処世術』

 SNSで瞬時に世界を駆け巡り、拡散される「言葉」。しかし、それは今、本来の力が失われつつあるのではないか。「爆笑問題」の太田とゴリラ研究で知られる山極は、スマホを持っていない。その2人がコミュニケーションと現代社会を巡って対談する。
★太田光・山極寿一著 集英社新書・858円

『ものがたり日本音楽史』

 縄文時代には土鈴のほか、石笛(いわぶえ)など石でできた楽器もあった。その後、海外との交流の中で仏教音楽や雅楽が発展。近世は三味線、箏曲、尺八など現代まで続くジャンルが成立。近現代の章は、西洋音楽の導入や戦後の伝統音楽を紹介。日本音楽史をたどる。
★徳丸吉彦著 岩波ジュニア新書・1034円

『兵器を買わされる日本』

東京新聞の調査報道キャンペーン「税を追う」をもとにした。貿易赤字削減を求めるトランプ政権の圧力をかわそうと、官邸主導で兵器調達が進む。政府は、ステルス戦闘機F35の105機を追加購入する方針を発表。米国兵器の「爆買い」で防衛費は火の車に。兵器取引の実態を追う。
東京新聞社会部著 文春新書・935円=朝日新聞2020年2月1日掲載