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「PANTAと仲間たち ヤルタ★クリミア探訪記」 反骨ロッカーの愉快なクリミア行

 ロックミュージシャンPANTA(パンタ)が国際音楽祭に招かれ、同行したライターや編集者ら5人による旅日記『PANTAと仲間たち ヤルタ★クリミア探訪記』が刊行された。

 2018年夏、一行はヤルタ会談で有名なヤルタ市へ。ロシアに併合されたクリミア地方で、日本政府の渡航中止勧告地域。非難覚悟で行ってみると「ヤルタはでっかい熱海(あたみ)」だった。黒海に面し山を背にするリゾート地。音楽祭は市制180周年記念で、黒海艦隊の楽団やバレエ団、オペラ歌手に交ざって、パンタはギター一本で参加。尺八とバイオリンのデュオとコラボして6曲を演奏。「アリガト!」の連呼が響いたという。

 旅の仕掛け人は新右翼・一水会の木村三浩代表。パンタは、昨年結成50年でアルバムも出した「頭脳警察」のボーカルで反骨の現役ロッカー。思想を超えた人と人との親交、身ぶり手ぶりと片言による現地の人との交流も愉快だ。希少な現代のクリミアの案内本でもある。(吉村千彰)=朝日新聞2020年3月7日掲載