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「古関裕而の昭和史」など注目の新書5選(朝日新聞2020年4月18日掲載)

『古関裕而の昭和史』

 副題に「国民を背負った作曲家」とある通り、戦前から戦後まで日本人の愛唱歌を生み続けた希代の人物とその時代を実証的に描く。著者は近現代史研究者で、古関の歩みとは「政治、経済、軍事の各方面でよくも悪くも暴れまわった日本の黄金時代の記録であった」と記している。
★辻田真佐憲著 文春新書・1045円

『ストライキ2.0』

 ブラック企業対策に取り組んできた著者は、法整備だけでは問題が解決しない現状から、「ストライキの件数」が足りないと指摘。国内では産業構造の変化から従来の労組主導とは違うストが生まれ、好意的に受け止められている。海外の先進事例も示し、ストライキの可能性を探る。
★今野晴貴著 集英社新書・946円

『韓国 現地からの報告』

 セウォル号事件、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の退陣を求めるロウソク集会、徴用工判決で冷え込む日韓関係……難局が続く韓国で人々は何を思うのか。長く韓国で暮らす著者だからこそ聞けた人々の本音を伝える。映画で話題の半地下で暮らした体験も面白い。
★伊東順子著 ちくま新書・968円

『日本の火山に登る』

 著者は火山学者と科学ジャーナリスト。火山大国・日本は111もの活火山を抱えるといい、噴火のメカニズム、地形や環境を解説する。御嶽山の噴火災害が記憶に新しいが、火山に安全に登るノウハウに1章を割いた上で、八ケ岳や北アルプスなど各地の火山の楽しみ方を紹介する。
★及川輝樹・山田久美著 ヤマケイ新書・990円

『植物はなぜ毒があるのか』

 動物の食料となる植物は、有毒な物質を身につけることで地球上で生き残る。植物と医学に詳しい著者が、ジャガイモやスイセンなど過去10年の食中毒例からそれぞれの特徴を解説。毒がときに薬として使われることなど、人と毒のある植物との関わりを知ることができる。
★田中修・丹治邦和著 幻冬舎新書・880円=朝日新聞2020年4月18日掲載