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秀吉の「関東・奥羽仕置」から430年、栃木・福島で記念展

伊達政宗自筆書状」(栃木県立博物館蔵)

 豊臣秀吉が、北条氏を攻め滅ぼした後、宇都宮などに出向いて、関東・東北の諸大名に領地替えなどを命じた天正18(1590)年の「宇都宮・会津仕置(しおき)」(「関東・奥羽仕置」とも)から今年で430年。当時、秀吉の通り道となった旧下野国と旧陸奥国の自治体では、夏から秋にかけて記念の展覧会などが相次いで開かれる。

 栃木県立博物館(宇都宮市)で開催されるのが「豊臣秀吉の宇都宮仕置」展(23日~8月30日)だ。ロビーを使ったミニ展示だが、伊達政宗の書状や秀吉の朱印状などの貴重な史料4点が公開される。

 政宗の自筆書状は、小田原城攻めに遅刻した政宗が、宇都宮仕置の際にも遅刻してしまい、弁解をしている興味深い内容。秀吉の朱印状は宇都宮滞在中に出されたもので、人質として上洛(じょうらく)する常陸の佐竹義重一行への対応を沿道の大名に命じている。

 対照的な仕置となった大名についての展示もある。

 栃木県さくら市ミュージアムでは、秀吉が与えた領地が元となり、幕末まで存続することになる喜連川藩をテーマにした企画展「喜連川足利氏誕生の軌跡~古河公方・小弓公方」(11月28日~12月23日)が開かれる。一方、小田原城攻めに参陣しなかったために秀吉から改易された、白河結城氏を取り上げるのが、福島県白河市の小峰城歴史館の「奥羽仕置と白河結城家」展(9月6日まで)だ。

 とりまとめ役を務める栃木県立博物館の江田郁夫副館長は「秀吉が通った道の周辺には、現在も太閤道などの地名が残る。秀吉の関東・東北巡行は地域の人々の記憶に強く残るものだったのではないか」と話している。(編集委員・宮代栄一)

 そのほかの展示は以下のとおり。

 那須与一伝承館(栃木県大田原市)の特別展示「豊臣秀吉と那須氏―激動の天正18年」(10月1日~11月23日)。

 福島県立博物館(福島県会津若松市)の常設展のポイント展「秀吉がやってきた!」(8月21日まで)、「なるほど太閤検地」(8月22日~10月25日)。=朝日新聞2020年7月22日掲載