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「ロンメル将軍」など注目の新書5選(朝日新聞2020年10月3日掲載)

『ロンメル将軍』

 砂漠での戦闘にたけ、名将と呼ばれたドイツの将軍ロンメル。第2次世界大戦での彼の副官が間近で見た姿と激戦を回想した。欧米でベストセラーになった本の増補改訂版。71年の邦訳にドイツ語版の序文や監訳者解説を加えた。
★ハインツ・ヴェルナー・シュミット著 清水政二訳、大木毅監訳・解説 角川新書・1430円

『キリスト教会史100の日付』

 イエスの磔刑(たくけい)から現教皇選出までを、100の日付で描く。ミラノ勅令、東西教会の「分離」、ルターの抗議などに加え、ヨーロッパ以外の事象も扱い、「教会とは何か」を多面的に考える。著者は中世史専攻のパリ・ナンテール大准教授。
★ベネディクト・セール著 武藤剛史訳 文庫クセジュ・1320円

『性からよむ江戸時代』

 夫婦の「交合」の回数を書き留めていた小林一茶の日記や、不義の子疑惑の争いに対する藩の裁定など、江戸時代の民衆の性をうかがい知ることができる希少な史料を読み込み、「リアリティのある歴史」を描く。細部に目をこらす著者に導かれ、歴史探偵になったような読後感。
★沢山美果子著 岩波新書・902円

『名探偵ポワロ」完全ガイド』

 「ABC殺人事件」などアガサ・クリスティー作品を原作に、英国で24年にわたりテレビドラマ化され、世界で放送された全70話を徹底解説する。著者はメイド研究などで知られる英国文化研究者。未視聴の人のためにネタバレを極力抑えている。巻末に全事件のリスト付き。
★久我真樹著 星海社新書・1100円

『クワバカ』

 大人になってもクワガタに魅了される人々。彼らを取材するうちにノンフィクションライターの著者もとりつかれ、固有種のいる西表島へ。ハブを恐れつつ夜のジャングルに分け入る。クワバカたちの変人ぶりが面白く、寝食を忘れるほど何かを好きになることのすがすがしさが伝わってくる異色ルポ。
★中村計著 光文社新書・1034円=朝日新聞2020年10月3日掲載