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「ロマネスクとは何か」など注目の新書5選(朝日新聞2020年11月7日掲載)

『ロマネスクとは何か』

 「古代ローマ風の」と訳される、中世中期のキリスト教文化。ブドウの装飾やねじれ柱など、古代ローマを手本としつつもそこから逸脱した独自の文化を追う。そこには、農村部に根強い異教とのしなやかな共存があった。サントリー学芸賞を受けた『ゴシックとは何か』の姉妹編。
★酒井健著 ちくま新書・1078円

『1キロ100万円の塩をつくる』

 常識に縛られずに活躍する人たちを取材する「稀人(まれびと)ハンター」の著者が、食の世界で新たな市場を切り開いた10人をリポートする。塩、パン、おはぎ、ワインなど、奇抜な発想による「おいしいものづくり」は、業界に変化をもたらし、消費者を魅了していく。
★川内イオ著 ポプラ新書・990円

『学校制服とは何か』

 教育現場での制服の歴史をたどり、公立や私立の様々な実例を取材と資料で紹介している。制服なしを堅持する伝統校があれば、復活させて「学校リニューアル」を図った例もある。当事者の声から制服メーカーの戦略、安保法に反対した高校生の「制服デモ」まで、様々な視点で考える。
★小林哲夫著 朝日新書・935円

『男女格差後進国」の衝撃』

 昨年12月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数」で153カ国中121位だった日本。格差の解消に取り組む自治体や企業の事例を紹介し、家庭で子どもに接する際には「男だから」「女だから」という無意識の偏見に染まっていないかを見直すことが大切と説く。
★治部れんげ著 小学館新書・880円

『半グレと芸能人』

 人気お笑い芸人や歌舞伎俳優との関わりで話題になる「半グレ」と呼ばれる反社会勢力。週刊文春の元記者である著者が、「関東連合」を中心に半グレと芸能界が関係した事件を振り返り、夜の繁華街で両者が関わり合っていった経緯を解き明かしていく。財界人や政治家も登場する。
★大島佑介著 文春新書・902円=朝日新聞2020年11月7日掲載