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コミック市場、少年マンガ誌から電子版へ 四半世紀の変化くっきり

 2020年のコミック市場の推定販売金額(出版科学研究所調べ)が、25年ぶりに最高額を更新した。四半世紀前と内訳を比べると、マンガの読まれ方の変容がはっきりと見える。

 これまで最高だった1995年は、少年マンガ誌が隆盛だった。「ドラゴンボール」「スラムダンク」などの人気連載を持つ集英社の「週刊少年ジャンプ」が650万部、「金田一少年の事件簿」「はじめの一歩」が連載中の講談社の「週刊少年マガジン」が400万部を超えていた。コミック市場全体の5864億円のうち、雑誌が3357億円と6割近くを占めていた。

 一方、20年のコミック市場は、紙(単行本と雑誌)と電子を合わせて6126億円。前年より23%増と好調だったにもかかわらず、雑誌は、前年比13%減の627億円まで落ち込んだ。96年以降、減少の一途をたどり、特に「ジャンプ+」などコミック誌のアプリが登場した2014年ごろからは大幅な下落が続く。日本雑誌協会が公表している20年10~12月の部数では、「ジャンプ」が147万5千部、「マガジン」は55万9千部だ。

 そして、市場の過半数となっているのは、電子コミックだ。20年も前年比で31%増と大幅に伸びて、3420億円に達した。紙の単行本と雑誌を合わせた2706億円を大きく上回る。出版科学研究所の水野敦史研究員は「コミック誌から単行本へという流れが続いてきたが、さらに電子コミックへの移行が加速している。雑誌という形態で読む習慣がなくなってきている」と分析している。(滝沢文那)=朝日新聞2021年3月3日掲載