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改元や皇位継承、いま考える 特別展「江戸時代の天皇」

全長約45メートルに及ぶ「桜町殿行幸図」

 江戸時代、幕府と天皇・朝廷の関係はどのようなものだったのか――。古典籍や絵巻物などから、その実情を考える特別展「江戸時代の天皇」が、東京・北の丸公園の国立公文書館で開かれている。

 幕府との折衝を担当した宮中の役職である武家伝奏の「公武御用日記」など50件、全7章で構成。当初は軋轢(あつれき)が生じていた朝廷と幕府の関係が協調路線へと転じていった経緯などを、「礼儀類典」や「御譲位諸次第並行列」をはじめとする史料群が物語る。当時行われていた剣璽渡御(けんじとぎょ)などの皇位継承儀式の様子もうかがえて興味深い。

 また、文化14(1817)年に、119代の光格天皇が禁裏から上皇の御所の桜町殿まで向かった際の行列を描いた「桜町殿行幸図」、同じく光格天皇が文政7(1824)年に上皇となって初めて修学院に御幸した様子を描いた「光格天皇修学院御幸図」はいずれも長大。行列の状況がよくわかる貴重な絵巻だ。

 さらに「元号の選定と改元」と題した第3章では、「改元申沙汰記」などから、1818年に行われた「文政」への改元の際、「文長」「嘉政」など七つの最終候補があり、「嘉」のつく元号の多くが3年程度で改元を迎えたことなどから「文政」に決まった経緯など、元号にまつわるエピソードが紹介される。

 最後を飾るのは、30年前の会見で小渕官房長官(当時)が掲示した「平成」の書。一覧するだけで、皇位継承儀式や元号にも詳しくなれる、今、最も旬な展覧会だ。5月12日まで。(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2019年4月24日掲載