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奥深さに驚く解説『免疫「超」入門』 佐藤健太郎が選ぶ新書2点

『免疫「超」入門 「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム』

 新型コロナ以降、免疫という言葉に対する関心が高まっている。しかし免疫は極めて複雑なシステムであり、その全容を把握するのは難しい。吉村昭彦『免疫「超」入門 「がん」「老化」「脳」のカギも握る、すごいシステム』(講談社ブルーバックス・1100円)は、一般向けに書き下ろされた免疫学の入門書。抗体、インターフェロン、T細胞など免疫系の主役たちの働きぶり、ワクチンやアレルギーなど知っているようで知らない事柄についてわかりやすく解説されている。老化や認知症にも深く関わるなど、免疫の作用の奥深さに驚かされる。
★吉村昭彦著、講談社ブルーバックス・1100円

『レビー小体型認知症とは何か 患者と医師が語りつくしてわかったこと』

 認知症といえばアルツハイマー型が最も有名だが、実は他にもいくつかのタイプがある。レビー小体型認知症はアルツハイマー型に次いで多いタイプだが、知名度はあまり高くない。樋口直美・内門大丈(ひろたけ)『レビー小体型認知症とは何か 患者と医師が語りつくしてわかったこと』(ちくま新書・946円)は、50歳の時にこの病気を発症した患者と、認知症専門医による対談という異色の一冊。幻視や幻聴、異様にはっきりした寝言など特徴的な症状があるものの、個人差も大きく、誤認されることが多いという。知識があれば、良い状態を長く保つことも可能というから、関心のある方は一読してみてほしい。
★樋口直美・内門大丈(ひろたけ)著、ちくま新書・946円=朝日新聞2023年12月16日掲載