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多角的な分析で対策を示す「未婚と少子化」 詫摩佳代の新書速報

『未婚と少子化 この国で子どもを産みにくい理由』

 昨年も様々な社会問題が注目を集めたが、2022年の出生率が過去最低を記録したこともその一つ。筒井淳也『未婚と少子化 この国で子どもを産みにくい理由』(PHP新書・1122円)は少子化の背景や構造を多角的に分析し、その複合性を明らかにする。少子化対策として子育て支援に重点が置かれる傾向にあるが、若者が将来を展望できるよう、安定した雇用の拡充や賃金上昇など総合的対策の必要性を訴える。行政やメディアをはじめ様々な立場にいる人に読んでほしい一冊である。
★筒井淳也著、PHP新書・1122円

『〈私〉を取り戻す哲学』

 サイバースペースの普及に伴うフェイクニュースの拡散も深刻な問題だ。岩内章太郎『〈私〉を取り戻す哲学』(講談社現代新書・1078円)はサイバースペースが我々の日常に深く浸透する中で、いかに〈私〉を取り戻し、社会における関係性を再構築すべきかをデカルト的立場から論じる。サイバースペースでは各人が〈私〉を自由に演出できるが、それはコンテンツとしても消費されていく。しかし社会における関係性のリアリティーとは、不完全な存在としての〈私〉に他者が関与し、また〈私〉も他者に関与することの中に存在するのであり、その関係性の回復が現代社会の喫緊の課題だと指摘。我々の社会と自分自身を振り返る手掛かりに満ちている。
★岩内章太郎著、講談社現代新書・1078円=朝日新聞2024年1月6日掲載