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「わたしたちの世界を変える方法」核廃絶・性平等・校則改正…社会課題に取り組む平均19歳の本音

 校則改正から気候変動、ジェンダー平等まで――。さまざまな社会課題に取り組む若手アクティビスト(社会活動家)たちの声を集めた一冊が出版された。著者22人の執筆時平均年齢は19歳。自らが運動に取り組む理由について、主義主張だけではない、個人的な出発点から打ち明けている。

 昨年11月に出版された「わたしたちの世界を変える方法」(河出書房新社)。明治学院大4年で、同世代の社会運動について取材を続けているライターの中村眞大さん(22)が編者を務める。

 3年前、「若者の主張」というテーマで立ち上がった企画。「若者をメディアが取り上げる際、上の世代に熱く怒っているシーンが切り取られがち」という中村さんの問題意識から、「同世代や次世代にも共感ができる、声を上げるに至ったパーソナルな悩みを書いてもらう」という方針になった。

 スクールストライキをして気候変動への危機感を訴える高校生、自身の性被害経験から性的同意や性被害についての理解や周知を呼びかける大学生、核廃絶運動に取り組む被爆3世……。社会運動に携わるようになったきっかけを、22人が個人的なエピソードから率直に打ち明ける。

 「美化や自慢でなく、正直に自分のことを書いてください」。中村さんから筆者陣への注文はほぼこれだけだったという。人々の関心が多様化する中、「統一見解はそもそも出せないし、社会や運動の形はこうあるべきだ、という考えも人それぞれであることを伝えたい」と中村さんは話す。

 執筆者は大学生が多いが、起業した学生や、2010年生まれの中学生、大学卒業後は活動から離れている1996年生まれまで、境遇は多種多様だ。

 執筆依頼時に取り組んでいた環境運動を今では休止しているという大学生は「立ち止まらなければ気づかなかったことがたくさんある」と述べている。中村さんは「『いつまでも声を上げて訴え続けるべきだ』という考え方は、ともすればマッチョな考え方にもなりうる」と指摘する。「ずっと自分を追い込む必要はない。街頭に出かけてデモをする以外にも、社会運動への関わり方はたくさんあることが伝わってほしい」

 ネットでなく、本の出版という形での発信にもこだわりがある。「同世代だけでなく、中高年にも私たちの社会運動の姿を知ってほしい」と中村さん。「50年後、100年後にも2020年代の若者が考えていたことを知るための資料として、一冊の本という形は非常に大きな意味があると思います」(平賀拓史)=朝日新聞2025年1月29日掲載