本書のネット上での読者レビューは評価が二分されている。それは、著者が発案した新しい仮想通貨MINE(マイン)が生み出す「マイニング経済圏」の説明が難しいからだ。
MINEを貯(た)める財布(ウォレット)と連動したカードで買い物をすると、サイバー上で取引が記録される。同時に、買い物の額に応じて、新たに発行された仮想通貨が財布に送られる。「消費」が「資産形成」に結びつくのがマイニング経済圏だという。
それを「買い物をするとお金が増える」と表現するが、説明に隔靴搔痒(かっかそうよう)の感があるのは、MINEの仕組みより、MINEで何を可能にしたいのかという未来像を語る方が先走りしたためだろう。
本書に対する高い評価は、その未来像への共鳴だ。送金手数料が限りなくゼロになるなど、仮想通貨の「真価」を生かし、モノの売買を法定通貨を介さずに行うことで、より便利で豊かになる社会。
著者が住むフィリピンでは、すでに出稼ぎ先の外国からの送金で仮想通貨が重宝されているという。日本ではもっぱら投機対象とされているが、仮想通貨も「どんな世界を実現したいのかというビジョンの勝負になってくる」という著者の言葉は予言的だ。=朝日新聞2018年6月16日掲載
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