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「マルチ・ポテンシャライト」 なりたいもの 一つに絞る必要はない

『マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法』[著]エミリー・ワプニック

 好きなことはたくさんあるが天職が見つからない――そんな悩みを持つ人に向けたユニークなキャリア論である。
 タイトルであるマルチ・ポテンシャライトとは、多くのポテンシャル(潜在能力)を秘め、複数の分野で才能を発揮する人のこと。「多芸は無芸」などと言われ、肩身の狭い思いをしてきた彼らが幸せに生きるための秘訣を、自身もマルチ・ポテンシャライトである著者が伝授する。
 原題の「How to Be Everything」が端的に表しているように、最大のメッセージは「なりたいもの」を一つに絞る必要はないということ。学習能力や適応能力が高く、大局観を持つ彼らは、時代の変化にすばやく対応できる。昨今の激動する経済では、マルチ・ポテンシャライトであることが強みになるというのだ。
 多面的な仕事に携わる、いくつかの職を掛け持ちするなど、その働き方も十人十色。日本人に違和感がないのは、「ほどよい仕事」で安定収入をキープしつつ、夢中になれるものを別に持つやり方か。
 大企業が副業を認め始めるなど、日本でもマルチな生き方に追い風が吹いている。本書のセルフチェックで自分自身を掘り下げてみては?=朝日新聞2018年9月22日掲載