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「イラストでわかる ニッポンのサイズ図鑑」 童謡「花いちもんめ」は残酷な遊び!?

「イラストでわかる ニッポンのサイズ図鑑」(淡交社)より

 去る4月11日は「メートル法公布記念日」。1921年のこの日に、国際的に浸透しつつあったメートル法を日本で採用するという法改正がなされたことにちなんで制定されました。それまで日本で採用されていたのは、人々の暮らしに根付いた尺貫法。いまでも「合」や「升」など生活の一部にその名残はありますが、なんとなく知っているというのが正直なところです。

 そこで今回取り上げたいのが「イラストでわかる ニッポンのサイズ図鑑」。本書は、単位を長さや面積、量など種類別に分類して、その単位が生まれた歴史的背景や現代での使われ方などをトリビアを交えながら解説しています。

 たとえば、重さとお金の単位として使われていた「匁(もんめ)」。いまとなってはなじみの薄い単位ですが、5円玉の重さがまさに1匁なんだとか。さらに意外なことに、尺貫法の中で唯一、いまでも国際的に使用が認められている単位なんだそうです。真珠の養殖を初めて実用化したのが日本人であったことから、真珠の重さを表す単位「momme(もんめ)」として取引の際に使われているといいます。

「イラストでわかる ニッポンのサイズ図鑑」(淡交社)より

 一方、子どものころ歌って遊んだ童謡「花いちもんめ」に登場する「匁」はお金の単位。銀一匁の花を売り買いする様子を歌った歌ですが、「花=女の子」という説もあるそう。そう考えると、女の子を一匁という安い金額(いまのお金で1000〜1500円くらい)で売ったり買ったりしたという残酷な内容に様変わりします。

 部分的とはいえ、私たちの暮らしの中にいまでも残る旧単位。日本人の生活感覚から生まれた旧単位を通して、日本の文化の奥深さや豊かさ、そして意外な一面にも触れられる一冊です。