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「ナンシー いいね!が欲しくてたまらない私たちの日々」 スマホ時代に適応、切れ味鋭く

 主人公はわがままな8歳の女の子。ちょっと食いしん坊で怠惰で嫉妬深くて悪知恵も働かせるが、自分にとても正直な、このかわいいキャラクターがアメリカで誕生してから80年以上経つ。全米で約千もの新聞に連載された人気長寿まんがだが、何人ものまんが家の手で描き継がれるうちに、さほど話題にならない地味な存在になっていた。

 それが近年突如脚光を浴びたのは、新たに執筆を受け継いだまんが家が内容を思い切ってアップデートさせたからだ。戦前から続く作品の世界に突然スマホが登場したのだ。しかも主人公はネット中毒で、スマホを手放せない自分にツッコミを入れながらも、ネットに時間や生き方を左右されつづけるという8歳児。これがみごとにはまり、現代的なネタ満載の切れ味鋭いギャグまんがに変貌(へんぼう)した。

 日本だと、のらくろやフクちゃんなどと同世代にあたるキャラクターだ。下手に描いたら単なるパロディーにしかならないが、この作品はオリジナルの魅力を生かしたまま、みごとにネット時代に適応してみせた。だからそんな経緯を知らなくても読めばおもしろい。ナンシーという、時代を越えたキャラクターのパワフルさを堪能できる。=朝日新聞2020年6月20日掲載