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「あいの結婚相談所」で知る、相談員のお仕事 結婚の意思を固めるまで会うのは禁止!その理由は・・・

文:片岡まえ

 結婚相談所、婚活パーティー、SNS、マッチングサイトのはしご、たくさんの人と会ったけどうまくいかない。いい加減婚活に疲れた……。そんな「婚活放浪者」を救う相談員がいます! 『あいの結婚相談所』(作画・加藤山羊、原作・矢樹純、小学館)は、婚活に悩む男女をマッチングさせ、結婚までの道のりを描いた作品。相談員の立場から、成功の秘密を探っていきます。

 藍野真伍が経営する結婚相談所は、相場の6倍とされる入会金、200万円を支払えば、誰でも100%希望通りの結婚ができるというのが売り文句。アクの強い風貌と、一方的に動物の交尾や生殖活動について話を聞かされることを除けば、藍野は100発100中で成婚させる相談員です。

©加藤山羊/矢樹純/小学館

 一般的な相談所との違いは、お見合いはウェブ、お互いに結婚の意思を固めるまで会うのは禁止、やりとりはウェブ上で、というところ。インターネットがつながる場所なら会員同士はお見合いが可能で、家やレンタルルームのほか、北海道の牧場から参加する人もいます。連れ子と相手と3人で会いたいという願いも、結婚が決まるまではNG。藍野と子どもと相手なら、と提案します。

 理由は、画面を通すことで会話する人を鈍感にして、恋愛感情を抱かせないため。藍野は動物の求愛行動や生殖行動を研究した元動物行動学者という経験から、結婚に必要なのは条件と相性、この2点に尽きるという持論を展開しています。直接会う事で見た目や雰囲気、声や匂いなど相手から多くの情報を得ることができる一方、五感に訴えるものには心が揺さぶられやすくなります。また、弱っている時や他人の助けを借りたい時に、本能的に恋愛を求めるのが人間の性。相手に求める希望や本質以外のものにとらわれて判断が鈍るのを防ぎ、最適な選択ができるよう、会員に必要な判断材料のみを届けているのです。

©加藤山羊/矢樹純/小学館

 業界では各社が連盟に所属し、会員の情報をネットワークで共有しています。藍野の強みは海外を含む100カ所以上に登録していること。会員の希望相手を同業者のツテを頼りに探す事も多く、成婚率はネットワークの強さに比例するのです。

 膨大なデータからぴったり合う相手を探すのは、実はそれほど難しいことではないそう。会員とその希望条件の相手の生い立ちや価値観などを徹底的に調べ、最適なマッチングを行います。「年収3000万」「農家に嫁いでほしい」など相手に望むイメージが明確な条件であるほど、相手が見つかりやすくなるといいます。例えば、「私を守ってくれる人」という希望は漠然としている上に、事件や危険物から守るのか、人によってイメージが異なります。相手への希望がぼんやりしているのは、結婚が叶っていない理由のひとつとされているようです。

 また、結婚相談所に登録する人の傾向に、「出会いがない」という理由を挙げる人がいます。しかし、すでに理想の相手と出会っているのに、外見や物腰で相手を理解した気になり、自分とは合わないと判断している人もいる、と藍野は眉をしかめます。自分の事は自分が一番分かっている、というのは本当? 主観や予断を取り除いた冷静な目でなければ人の本質は見えない、本当の自分とは客観的なデータだと説くのです。

「あいの結婚相談所」で知る、婚活あるある!?

  • 自分で相手を選んでマッチングするアプリに比べ、相談所は相談員が相手を探してくれるため、客観的な視点が入る
  • 相談員はよりよいマッチングのため、データだけに頼らず自分の足でどんな人かを確認することもある
  • 自分がマッチングさせたカップルが何年か後に会いに来ると喜びを思い出す
  • 子どもの許可なく、親が勝手に子どもの婚活の申し込みをしていることがある
  • ウェブのお見合いでも、男性はスーツを着用、女性は清楚なワンピースの参加が多い。パイロットなど仕事の制服を着用する人も
  • 若い年齢で婚活をしている人ほど相手への希望が明確で、早くから人生設計を真剣に考えていることが多い