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「365日にっぽんのいろ図鑑」 名前も美しい伝統色にうっとり

「365日にっぽんのいろ図鑑」(玄光社)より

 1月6日は「い(1)ろ(6)」の語呂合わせから、「色の日」「カラーの日」とのこと。そんな記念日にちなんで“色”に思いをめぐらせつつ、一年のはじまりにおすすめしたいのが「365日にっぽんのいろ図鑑」です。

 本書は、日本の季節を楽しむ暮らしを伝えるWebサイト「暦生活」の人気コンテンツ「にっぽんのいろ」をもとに、日本の伝統色を季節に合わせて1日1色ずつ紹介する図鑑。それぞれの色をまとう動植物や自然、食材や建築物などの美しい写真とともに、色の名前の由来、色にまつわる歴史や文学などのエピソードが綴られています。

 色の美しさもさることながら、名前の美しさや命名の巧みさに思わずため息が出てしまいます。例えば、古くから親しまれてきた果物だけに“柿”にちなんだ色は20色ほどと多く、「紅柿色」「濃柿」「柿茶」など単なる「柿色」だけじゃないのがすごいところ。中でも特に印象的だったのが「照柿色(てりがきいろ)」です。この名前を見ただけで、日に照らされて艶やかに輝く柿が目に浮かびます。ただの「柿色」だけでなく、こうした情景を切り取って色の名前にしていることからも、古の人々が暮らしの中に息づく色を繊細に感じ取っていたことがうかがえます。

「365日にっぽんのいろ図鑑」(玄光社)より

 ふと見上げた空や道端の草花、今日の食卓……。何気ない日常風景の中に、日本の伝統色を探してみるのも一興です。同じように見えていた景色の解像度が一気に上がるかもしれません。