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【検定百景#32】世界遺産検定:コロナが終わる前に身につけたい、万全の背景知識

文:若林良 イラスト:Getty Images

問題1 『アテネのアクロポリス』にある…

『アテネのアクロポリス』にある、女神アテネを祀った神殿は何か。

1. テンプロ・マヨール
2. フォロ・ロマーノ
3. アブ・シンベル神殿
4. パルテノン神殿

 ええと、アテネというとギリシャですね。「アクロポリス」って何?……恥ずかしながら、私の知識はこの程度に留まっているのですが、世界遺産というくらいだから、昔、中学校の美術の授業で唯一名前を覚えたことがあるこれでは?とチェックすると、なんとか正解していました。よかった。

 改めて勉強したところ、「アクロポリス」とは「高い丘の上の都市」という意味で、紀元前に誕生した、都市国家アテナイの時代に建てられたもの。その頃ギリシャ文明は最盛期を迎え、アクロポリスはその象徴として建てられ、オリンポスの神々を祀るとともに、敵の侵入を防ぐ要塞でもあったようです。そして、アクロポリスの中央に建つのが、ドリス式建築の傑作と言われる「正解」の神殿でした。

問題2 『日光の社寺』の東照宮で…

『日光の社寺』の東照宮で「寛永の大造替(だいぞうたい)」と呼ばれる大改修を行ったのは誰か。

1. 徳川家康
2. 徳川家光
3. 徳川綱吉
4. 徳川光圀

 続きまして、これは日本の問題ですね。大改修を行うくらいだから、権力者でなくてはできないはず。となると征夷大将軍でないあの人は外れるかな。また、「寛永」は確か1630年頃に使われていた年号だから、当時の将軍であったこの人では?…と答えを確認すると、これも正解できていました。

 ざっくり言えば、日光東照宮には江戸幕府の初代将軍が祀られているのですが、正解の人物はこの初代将軍をとても尊敬しており、初代将軍の21周忌にあわせて、この日光東照宮の大規模な改修にとりかかりました。なお、江戸幕府の将軍は合計で16回、日光東照宮に参拝していますが、そのうち9回はこの人物によるものです。

世界遺産を学んで広がる知識

 上記の説明は非常に駆け足のものですが、「世界遺産を学ぶことで、その周辺の、文化や歴史の知識を身に着けてもらうことを大きな目的としています」と語るのは、検定を運営する世界遺産アカデミー検定運営課の永坂勇人さん。

 「たとえばグローバルな企業で活躍する方が、検定を通して関わりのある国にまつわる知識を身に着けて、取引先の人と話が盛り上がったりするようなケースも少なくありません。検定から人生を豊かにしてもらえれば、私どもとしても嬉しい限りです」(永坂さん)

 検定は1級から4級にわかれ、また1級合格者には「マイスター」というさらに上の試験を受検する道も開かれています。1級から4級は選択式の試験ですが、マイスターは論述式の試験で、「世界遺産に関する自分の意見を持つ」ことを主眼にしているとのことです。

 コロナ禍のいま、なかなか遠出することも難しいですが、むしろ、この状況下で試験の合格率は増えているとも、永坂さんは語りました。2006年の発足以来、20万人という多くの受検者を数えていることからも、もともとの人気の高さをうかがえますが、逆に今だからこそ、遠くのあの国や、その遺産に想像力が向かうのかもしれません。

 それでは最後の問題にチャレンジ!

【問題3】
『ロス・グラシアレス国立公園』にある最大の氷河は何か。

1. ウプサラ氷河
2. アレッチュ氷河
3. ローヌ氷河
4. レブマン氷河

【正解】問題1=4、問題2=2、問題3=1